
四十九日法要に欠かせない本位牌ですが、宗派によってどのような決まりがあるのか不安な方も多いでしょう。
位牌のデザインは基本的に自由ですが、文字の書き方や形式には大切なルールがあります。
本記事では、後悔しない位牌選びのために知っておきたい宗派ごとの特徴や、お寺への確認ポイントを分かりやすく解説します。
選び方に宗派の決まりはある?位牌の基本知識
位牌の形自体に厳しいルールはあまりないですが、文字の書き方や形式には宗派ごとの作法があります。
本章では、位牌の準備に関する基礎知識や、宗派ごとの決まりを解説します。
白木位牌と本位牌それぞれの役割と切り替える時期
葬儀の際に祭壇に置かれる白木位牌(しらきいはい)は、四十九日法要までの一時的な仮の位牌です。
これから末永く故人の分身として安置するため、四十九日の法要に合わせて本位牌を用意し、僧侶による魂入れや開眼供養をします。
本位牌の作成には文字入れなどの工程が必要で、完成までに1週間~10日間ほどかかることがあるため、法要の直前に慌てないように半月前までには注文を済ませると良いでしょう。
素材選びは基本的に自由だが一部の宗派で制限がある
多くの宗派は、位牌の素材やデザインに厳格なルールを設けていません。
伝統的なものとして表面を艶やかに仕上げた漆塗りのほかに、黒檀(こくたん)や紫檀(したん)といった唐木位牌が存在しますが、近年はクリスタルや陶器などを用いたデザイン性の高い位牌もあります。
曹洞宗や臨済宗などの禅宗では唐木位牌が選ばれる傾向があるようですが、必ずそうと決まっているわけではありません。
ただし、地域や寺院によって独自の決まりがある場合もあるため、まずは菩提寺(ぼだいじ)の考えを確認しておくことが大切です。
宗派や寺院ごとに決まっている文字入れと形式のルール
位牌の見た目よりも注意したいのが、表面に刻む文字の形式です。
それぞれの宗派には、長い歴史の中で育まれてきた位牌の扱い方や特徴があります。
宗派ごとの特徴は、以下のとおりです。
真言宗
特徴的な点として、戒名の上に大日如来を象徴する梵字の「ア」を入れることが多い傾向にあります。
梵字のアは、故人が万物の根源である大日如来の加護を受け導かれたことを意味しており、真言宗で重要な意味を持ちます。
梵字を省略することもありますが、菩提寺の指定がないか確認して判断するのがよいでしょう。
曹洞宗
文字入れでは戒名の最上部に「空」の文字を入れる場合があります。これは世の中の全ての物事は因縁によって起こる仮のもので、実態がないという意味を持ちます。
「空」の文字は入れないケースが多いですが、先祖の位牌に入っている場合は揃えるか、菩提寺に確認するようにしましょう。
浄土真宗
浄土真宗では位牌を用いず、法名軸や過去帳を用いるのが一般的です。
亡くなるとすぐに仏さまになるという教えがあるため、魂が宿る依代(よりしろ)としての位牌は本来必要ありません。
しかし、位牌は依代としての役割とともに、故人を偲ぶためのものでもあるため、一部では位牌を併用する家庭もあります。
ただし、位牌を作ることがふさわしくないと考えるお寺もあるため、併用を希望する際は事前に菩提寺へ相談しましょう。
日蓮宗
日蓮宗では、位牌は法華経の教えを故人へと捧げ、成仏を願うための重要な役割を担っています。
戒名にあたる名前は法号と呼ばれており、その最上部に「妙法」の二文字を冠するのが独自の作法です。
この二文字には、故人が法華経の教えを信仰する門徒である証としての意味が込められています。
位牌を新しく作成する際には、法号の構成や文字の配置に地域や寺院ごとの慣習が反映される場合もあるため、正しい構成を十分に確認してから手配を進めましょう。
本位牌の素材やデザインの選び方

本位牌には大きく分けて3つの種類があり、それぞれ特徴があります。
自宅にある仏壇の形式や部屋の雰囲気に調和するかどうか気になる方も多いでしょう。
ここでは、本位牌の種類ごとの特徴や価格を解説します。
塗り位牌
塗り位牌は、檜などの木材を基礎に、漆を塗り重ねて金箔や金粉で装飾を施した、華やかで気品のある伝統工芸品です。
特に金仏壇へ安置した際は、内部の意匠と調和しやすいのでおすすめです。
価格帯は1万円程度の普及品から10万円を超える高級品まで幅広く展開されているため、予算に応じて選びやすくなっています。
一方で、塗装の技術で簡易的に仕上げることができるため、海外製の商品もかなり増えています。
品質や価格にも大きな差が出やすいため、長期的な視点で品質を吟味するのが大切です。
唐木位牌
唐木位牌は、黒檀や紫檀といった硬質で希少な高級天然木を素材として用いるのが特徴です。
木材が持つ本来の美しさや重厚な質感を活かした仕上げとなっており、職人が釘や接着剤を使わずに組み上げる指物(さしもの)の技法で作られた製品などもあります。
落ち着いた色合いで、和室だけでなくリビングに置かれる仏壇にも違和感なく調和するでしょう。
価格帯は1万円台後半から10万円程度と幅がありますが、これは木材の密度や加工の細かさに左右されるため、実際に手に取って重みや質感を確認するのが良いでしょう。
モダン位牌
モダン位牌は、アクリル・ガラス・クリスタルなどで作られており、現代的な見た目が洋風のインテリアやコンパクトな仏壇になじみやすく、近年人気があるようです。
デザイン性の高さに加え、温度や湿度の変化によるひび割れや変色のリスクが極めて低いため、特別な手入れが不要な点もメリットです。
価格は製法や素材によって変動しますが2万円から20万円程度と幅広く、 実物を手に取って質感や光の反射具合を確認したうえで、安置場所にふさわしいものを選ぶことが重要です。
宗派で異なる位牌の文字入れの注意点
位牌には一人用のものだけでなく、夫婦で一つにまとめたり、戒名がない状態で作成したりする特殊なケースもあります。
後から修正するのは難しいため、事前に正しいレイアウトや作法を確認するのが大切です。
ここでは、特殊なケースにおける文字入れのルールを解説します。
夫婦連名にする夫婦位牌の配置ルールと慣例
夫婦位牌は、一つの位牌に夫婦二人の戒名を並べて刻む形式です。
仏壇のスペースを節約できるだけでなく、夫婦が浄土でも共にいられるよう願いが込められています。
基本的なルールとして、表面も裏面も右側に夫、左側に妻の戒名を配置することが多いようです。
ただし、真裏型と呼ばれる独自の配置を選ぶケースもあり、これは表面の右側に男性、左側に女性の名を記す一方で、裏面にはその対角となるよう右側に女性、左側に男性の情報を配置する形式です。
地域や先祖の位牌の形式により正解が異なるため、お寺や仏壇店に相談して決めると安心です。
先祖代々の位牌を置く場合
亡くなってすぐの時期は、故人を偲ぶために一人ずつ位牌を用意するのが一般的ですが、三十三回忌や五十回忌といった弔い上げを節目として先祖位牌へ移し替えることができます。
この位牌の表面には「〇〇家先祖代々之霊位」と刻み、裏面には何も記載しない形が基本となります。
宗派や家系によっては文字の先頭に梵字を加えたり家紋を入れたりする場合もありますが、これらはお寺の慣習によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
先祖位牌自体には個人の戒名が残らないため、家系を継いできた先祖の詳細は過去帳に記録しましょう。
戒名を付けない場合どう書くか
無宗教だったり、諸事情で戒名を授からなかったりした場合でも、位牌を作って供養することは可能です。
その場合は、生前の名前である俗名をそのまま刻む俗名位牌を作ります。
書き方は複数ありますが、表面の中央に氏名を記し、その脇に亡くなった年月日、裏面に亡くなった年齢を配置する形がよく見られます。
このとき、宗派を特定する梵字や冠文字は入れずに、俗名の下に「之霊位」と記すのが特徴です。
位牌のサイズの選び方|失敗しないための注意点

位牌の大きさは、単に仏壇に入るかどうかだけでなく、仏壇全体のバランスを整えるためのポイントです。
ここでは、仏壇に合わせた位牌の適切なサイズを解説します。
ご本尊の仏像や掛け軸より大きくないのが好ましい
位牌のサイズを選ぶとき、大切なルールは仏壇の中央に祀られているご本尊を超えないことです。
ご本尊は仏教で敬う礼拝対象であり、故人の位牌はその加護を受ける存在となります。
そのため、物理的な高さをご本尊より低く抑えるのが一般的なマナーで、位牌の頂点が仏像の背後にある仏像光背や、掛け軸の最上部よりも低くなるように調整します。
ご本尊との適切な高低差を意識して位牌を選び、安置する際の基本的な作法を遵守しましょう。
既にご先祖様の位牌がある場合はバランスを考慮する
新しく位牌を追加するときは、すでにある先祖の位牌との大きさのバランスも考えなければなりません。
新しく作る位牌は、先祖への敬意を込めて序列を乱さないようにする配慮から、先祖のものと同じか小さいサイズにするのが一般的です。
一方で、大きな功績を残した故人の位牌を先祖の位牌より大きくする家庭もあります。
位牌のサイズは家庭の考え方を反映する側面もあるため、作成前に仏壇内の空間を確認し、先祖と並べた際に違和感のない寸法を確認すると良いでしょう。
位牌の整理や処分に関するよくある質問
位牌は代々受け継がれていくものですが、数が増えて仏壇に収まらなくなったり、古い位牌の扱いをどうすればいいか悩んだりすることもあるでしょう。
ここでは、大切な位牌を適切に整理や処分するための方法など、よくある疑問を紹介します。
位牌が多すぎて仏壇に入らない場合は回出位牌へまとめてもいい?
仏壇の中に位牌が増えすぎてしまったときは、回出位牌(くりだしいはい)にまとめるのが一つの手段です。
回出位牌は、中に複数の札板を納めることができる箱のような構造をしており、先祖代々の位牌を一つに集約できます。
一般的には、三十三回忌などの法要を一つの節目として、個別の位牌から回出位牌へ移行することがあります。
ただ入れ替えるだけではなく、お寺に魂入れを依頼しなければなりません。
整理することで仏壇の中がすっきりし、すべてのご先祖さまへ丁寧にお参りできる環境が整うようになるでしょう。
古い位牌の処分はどうすべき?供養やお焚き上げを依頼する方法は?
白木位牌や、まとめ終わった後の古い本位牌をそのままゴミとして捨てることは避けてください。
役割を終えた位牌は、まずお寺に閉眼供養という魂を抜く儀式を依頼し、単なる木材の状態に戻す必要があります。
その後、浄火によって位牌を清めるお焚き上げをしたり、お寺に預けて永代供養に付したりするのが一般的な流れです。
依頼先は菩提寺のほかに、最近では仏壇店や供養サービスでの引き取りも広がっています。
感謝の気持ちを込めて正しく手放すことで、送り出す側と故人の双方にとって安心できる区切りとなるでしょう。
まとめ
位牌選びは、亡くなった方への最後の贈り物ともいえる大切な行為です。
宗派ごとに定められた文字入れのルールや、現代の住環境に適した素材の特徴を正しく理解することは、形式を整えるだけでなく故人を敬う姿勢にもつながります。
正しい知識を持って選んだ位牌は、これから先も家族の安らぎを末永く見守ってくれる、かけがえのない存在になるでしょう。
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