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神道の霊祭・式年祭とは|一年祭・三年祭の数え方と流れを解説

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【結論】霊祭・式年祭は、仏式の法要にあたる神道の追悼のまつり

はじめに結論をお伝えします。神道(神葬祭)で故人をしのぶ節目のまつりを、大きく「霊祭(れいさい/みたままつり)」「式年祭(しきねんさい)」の二つに分けて呼びます。仏式でいう法要・年忌にあたる儀式ですが、呼び名も、数え方も、当日の作法も異なります。まずは全体像を三つに整理してご覧ください。

  • 忌の期間のまつり=霊祭:帰幽(きゆう。神道では亡くなることをこう表します)から、十日祭・二十日祭…と続き、多くの地域で五十日祭を忌明けの区切りとします。
  • 節目ごとのまつり=式年祭:一年祭・三年祭・五年祭・十年祭…と、決まった年の巡りで営みます。
  • 数え方が仏式と違う:神道の年祭は名称どおり満年(満○年後)で数えるのが一般的な傾向で、仏式の回忌(数え)とはずれていきます。

神道では、亡くなった方は祖霊(それい)となり、やがて家や子孫を見守る神としてお祀りされていくと考えます。仏式のように「成仏」や「往生」という言い方はしません。ですから霊祭・式年祭は、故人の霊(みたま)を慰め、その加護に感謝しながら、祖霊としてお祀りしていくための大切な機会です。年を追うごとに、悲しみを整える追悼のまつりから、家を守る祖霊への感謝のまつりへと、そのいろあいがゆるやかに移っていきます。仏式の考え方とは前提が異なるため、この記事では「まつり」「祭祀(さいし)」という言い方を用います。

なお、地域・神社・ご家庭によって作法や年数の考え方には幅があります。この記事では「一般には」「〜とされます」という整理にとどめ、最終的な段取りはお世話になっている神社(神職)にご確認いただくことを前提にお読みください。

まず押さえたい用語の対応(仏式との違い)

神道の供養を調べると、多くの方が仏式の言葉と取り違えてしまいます。検索でよく使われる仏式の語と、神道での呼び方を対応させておきます。読者のみなさまが目にする言葉の橋渡しとしてご覧ください。

仏式でよく使う語 神道での呼び方
法要・法事・年忌 霊祭・式年祭・祭祀(さいし)
位牌 霊璽(れいじ)・御霊代(みたましろ)
仏壇 祖霊舎(それいしゃ)・御霊舎(みたまや)
戒名・法名 諡(おくりな。○○大人命〈うしのみこと〉・○○刀自命〈とじのみこと〉など)
焼香 玉串奉奠(たまぐしほうてん)
香典・お布施 玉串料(たまぐしりょう)・御榊料(おさかきりょう)
僧侶・住職 神職(斎主〈さいしゅ〉)
四十九日 五十日祭(ごじゅうにちさい)

亡くなることを神道では「帰幽」と表し、故人に贈られる仏式の戒名にあたる名は「諡(おくりな)」と呼びます。位牌にあたるものは霊璽(れいじ)で、これを納めてお祀りする場所が祖霊舎(御霊舎)です。仏壇・位牌とは意味あいも扱いも異なりますので、まずここを取り違えないことが大切です。霊璽のかたちや意味、お祀りの仕方については神道の位牌にあたる霊璽(御霊代)で詳しくまとめています。

どこで営むか — 社殿では行わないのが一般的

霊祭・式年祭は、自宅の祖霊舎の前、墓前、または斎場で営むのが中心で、神社の社殿では行わないのが一般的です。これは、神道では死を「穢れ(けがれ)」ととらえる古くからの考え方があり、神様をお祀りする清浄な社殿とは場を分ける、という配慮によるものとされます。故人やご遺族を軽んじる意味ではなく、悲しみの場と神社の神事とを分けるための作法とお考えください。多くの場合、神職に自宅や墓前までお越しいただいて執り行います。仏式の感覚で「お寺(神社)に集まって行う」と考えていると勝手が違うため、最初に押さえておきたい点です。ただし、これも地域や神社の考え方によって扱いが異なることがありますので、迷われたときは神職にご相談ください。

神葬祭から霊祭・式年祭へ — 全体の流れ

霊祭・式年祭は、突然はじまるものではなく、神葬祭(しんそうさい。神道の葬儀)に続く一連のまつりの延長線上にあります。全体像をつかんでおくと、それぞれの節目の位置づけが分かりやすくなります。一般的な流れを、おおまかにたどってみます。

帰幽ののち、まず故人を安置してお守りする枕直しの儀、ご遺体を棺に納める納棺の儀と進みます。続いて、仏式の通夜にあたる通夜祭(つやさい)が営まれ、多くの場合ここで、故人の御霊(みたま)を霊璽(れいじ)にお移しする遷霊祭(せんれいさい。御霊移し〈みたまうつし〉ともいいます)が行われます。この霊璽が、以後の霊祭・式年祭でお祀りしていく依り代(よりしろ)となります。霊璽そのものについては神道の位牌にあたる霊璽(御霊代)で詳しく解説しています。

翌日、仏式の葬儀・告別式にあたる葬場祭(そうじょうさい)が営まれ、火葬祭を経て、自宅に戻って無事を報告する帰家祭(きかさい)へと進みます。そしてここから、十日祭を皮切りに、霊祭が始まります。忌明けの五十日祭までが霊祭の中心で、そのあと一年祭以降の式年祭へと受け継がれていく、という大きな流れです。ここから先で、霊祭と式年祭を順にくわしく見ていきます。なお、儀式の名称や順序は地域・神社・葬儀の形式によって異なることがありますので、細部はお世話になる神社(神職)にご確認ください。

霊祭(十日祭〜百日祭)— 五十日祭までがおおむね忌の期間

霊祭は、帰幽から日を追って営むまつりです。忌の期間にあたり、故人の霊を慰めながら、ご遺族が日常へ戻っていく区切りにもなります。仏式の初七日から四十九日までの流れに近い時期ですが、呼び名も日数の区切りも異なります。まずは一覧でご覧ください。

霊祭の一覧と時期

まつりの名称 時期の目安 位置づけ
十日祭(とおかさい) 帰幽からおおむね10日目 仏式の初七日にあたるとされる
二十日祭(はつかさい) 同20日目 省略・併修されることも多い
三十日祭(さんじゅうにちさい) 同30日目 同上
四十日祭(しじゅうにちさい) 同40日目 同上
五十日祭(ごじゅうにちさい) 同50日目 忌明けの区切りとされることが多い
百日祭(ひゃっかさい) 同100日目 省略・併修される地域もある

十日祭は、帰幽ののち最初に営む大きな霊祭で、仏式の初七日にあたるとされます。近しい方をお招きして丁寧に営むご家庭が多いようです。二十日祭・三十日祭・四十日祭は、近年では省略したり、前後の霊祭に併せたりすることも少なくありません。そして五十日祭が、忌の期間の締めくくりとして最も重んじられる節目です。百日祭は、地域によって営むところと省くところがあります。

このほか、葬儀の翌日に営む「翌日祭(よくじつさい)」や、故人の霊を祖霊舎に合わせ祀る「合祀祭(ごうしさい)」があります。合祀祭は、それまで仮に祀っていた霊璽を祖霊舎に納め、家の祖霊とともにお祀りしていくための大切な区切りですが、現在は五十日祭などに併せて営まれることが多くなっています。翌日祭も省略される例が増えています。どこまで丁寧に営むかは、ご家庭の事情や地域の慣習にあわせて構いません。かたちの多い少ないよりも、故人を静かにしのぶ心のほうが大切にされます。

霊祭の数え方 — 帰幽の日を一日目とする傾向

霊祭は、帰幽の日を一日目として数える傾向があります。たとえば十日祭は帰幽の日を含めて10日目、五十日祭は50日目にあたる、という数え方です。ただし地域や神社によって数え方の慣習に幅があるため、正確な期日は神職に確認するのが確実です。実際には、参列される方の都合にあわせて、当日より少し手前の土日などに繰り上げて営むことも珍しくありません。後述する式年祭が「満年」で数えるのに対し、忌中の霊祭は日数で数える、という違いをここでおさえておいてください。

五十日祭が忌明けの区切りとされることが多い

一般的には、五十日祭をもって忌明けとすることが多く、この日に合わせて神棚封じを解いたり、忌明けのあいさつを行ったりします。地域によっては百日祭を一つの区切りとする考え方もあります。忌明けを迎えると、日常のお参りや神棚のお祀りが平常どおりに戻り、暮らしの区切りにもなります。なお、帰幽から忌明けまでの忌中は、家の神棚に白い半紙を貼ってお祀りを控える「神棚封じ(かみだなふうじ)」を行うのが一般的です。これは、死の穢れを清らかな神様に及ぼさないための配慮とされ、五十日祭の忌明けにあわせて半紙を外し、神棚のお祀りを再開します。この作法にも地域差があり、貼る場所や外す時期の考え方が異なることもありますので、迷うときは神職にご確認ください。五十日祭の具体的な流れや、忌明け・神棚封じ・当日の準備、合祀のことについては、五十日祭の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。ここでは概要にとどめます。

式年祭(一年祭・三年祭・五年祭・十年祭…五十年祭)とその意味

忌の期間を終えたあと、決まった年の巡りで営むのが式年祭です。年を重ねるごとに、故人を悼むまつりから、祖霊としてお祀りし感謝するまつりへと、その意味あいがゆるやかに移っていきます。故人が家の守り神として、子孫を見守る存在になっていく——その歩みに寄り添うのが式年祭だとお考えいただくと、一つひとつの節目の意味がつかみやすくなります。

一年祭 — 喪の大きな区切り

帰幽から満一年で営む一年祭は、喪の大きな区切りとされ、親族や故人と縁の深かった方を招いて特に丁寧に営むことが多いまつりです。多くの場合、この一年祭を境に喪が明け、神葬祭の延長としてのまつりから、祖霊を家の守り神としてお祀りする祭祀へと意味が移っていくと考えられています。仏式の一周忌にあたる節目ですが、呼び名も作法も異なります。墓前で営んだり、あわせて納骨を行ったりすることもあり、地域やご家庭によってさまざまです。

三年祭・五年祭・十年祭 — 規模はしだいに小さく

一年祭のあとは、三年祭・五年祭・十年祭…と続きます。一般に、五年祭以降は家族やごく近い親族を中心に営み、規模は年を追って小さくなっていく傾向があるとされます。とはいえ、どの年祭をどの規模で営むかは、ご家庭や地域の慣習によって幅があります。仕事や親族の都合にあわせて日取りを前後させることも珍しくありません。大切なのは形式をそろえることよりも、故人を思う気持ちを絶やさずに受け継いでいくことだとされています。近年は、親族が遠方に散らばっていることも多く、五年祭や十年祭は身内だけでこぢんまりと営んだり、命日に祖霊舎の前で手を合わせるだけの簡素なかたちにしたりするご家庭も増えています。どの営み方であっても、故人をしのぶ心が込もっていれば、それがそのご家庭にとっての正しいかたちだといえるでしょう。

二十年祭・三十年祭・四十年祭・五十年祭と弔い上げ

その後は十年ごとに、二十年祭・三十年祭・四十年祭・五十年祭と営みます。五十年祭を最後の区切り=弔い上げ(まつりあげ)とすることが多いとされますが、地域によっては三十年祭を区切りとしたり、百年祭まで営んだりする例もあります。弔い上げを迎えると、故人の個別の霊は祖霊(家の遠祖)に合わせ祀られ、以後は先祖代々としてお祀りしていく、という考え方が一般的です。ここで個別の霊璽を納め、まとめてお祀りするかたちに切り替えるご家庭もあります。ただし、何年祭まで営むか、弔い上げをいつにするかは諸説・地域差があり、一律に断定はできません

どこまで・何年祭を営むか

式年祭の年数構成や、どこまで営むかは、家・地域・神社によって考え方が異なります。「わが家はどうすればよいか」で迷われたときは、お世話になっている神社(神職)に確認するのがもっとも確実です。近年は暮らしの変化もあり、無理のない範囲で営むご家庭も増えています。式年祭を毎回大きく営むのが難しくても、命日に祖霊舎の前で手を合わせ、神饌をお供えするだけでも立派なお祀りです。かたちにとらわれすぎず、続けられるやり方を神職と相談なさるとよいでしょう。

【要注意】年祭の数え方 — 仏式の「回忌」と違い「満年」で数える

この記事でもっともお伝えしたいのが、年祭の数え方です。仏式の年忌法要と同じ感覚で数えると、一年ずれてしまうことがあります。ここは間違えやすいところなので、丁寧に整理します。

仏式の回忌は「命日を一回目」と数える(数え)

仏式の回忌は、亡くなった年(命日)を一回目と数える「数え」の考え方です。たとえば三回忌は、命日を一回目、翌年(満一年)を二回目、その次の年(満二年)を三回目として、満二年後に営みます。七回忌は満六年後、十三回忌は満十二年後、という具合です。名前の数字よりも、実際に営む年が一年早くなる点が特徴です。

神道の年祭は「満年」で数える

いっぽう神道の式年祭は、名称どおりの満年で数えるのが一般的です。三年祭は満三年後、五年祭は満五年後、十年祭は満十年後に営みます。「○年祭」という名前が、そのまま経過した満年数を表しているとお考えいただくと分かりやすいでしょう。仏式のように名前と実際の年がずれない、と覚えておくと混乱しにくくなります。ただし、この満年で数える慣習も地域や神社によって幅がある点は、念のため添えておきます。

一致するのは「一周忌=一年祭」だけ

仏式と神道で営む年が一致するのは、仏式の一周忌と神道の一年祭(ともに満一年)だけです。それ以降はずれていきます。たとえば——

  • 仏式の三回忌=満二年後 / 神道の三年祭=満三年後 → 一年ずれます
  • 仏式の七回忌=満六年後 / 神道で同じ満六年に営む年祭は基本的にない → 対応しません

「三回忌だから三年祭」と機械的に対応させるのは誤りです。名前が似ていても営む年が違う、という点に十分ご注意ください。ご親族に仏式と神道の両方がおられる場合は、それぞれの数え方で日取りを確認するのが安全です。特に、複数の家が集まって法要・霊祭の日取りを合わせるときは、どちらの数え方を基準にしているかを最初にすり合わせておくと行き違いが避けられます。

具体例で考えてみましょう。たとえば、ある年に帰幽された方の場合、その翌年が一年祭(満一年)です。ここまでは仏式の一周忌と同じ年になります。ところが、そこからさらに二年後――つまり帰幽から満三年後――に営むのが三年祭です。仏式の三回忌は満二年後ですから、神道の三年祭は仏式より一年あとになる、という関係です。以後も、五年祭は満五年後、十年祭は満十年後と、名前の数字がそのまま経過年数になります。「名前=経過した満年数」とだけ覚えておけば、日取りの取り違えはほとんど防げます。あわせて、命日(祥月命日〈しょうつきめいにち〉)を基準に前後の都合のよい日へ繰り上げて営むことも多いので、正確な期日は早めに神職と相談しておくと安心です。

補足:三年祭の地域性

なお、三年祭は九州以南を中心とした地域性のある習わしとする見方もあります。年祭の構成そのものに地域差があるため、ここでも「一般にはこう」という整理にとどめ、詳しくは神社にご確認ください。

仏式年忌との対応早見表(数え方の違いに注意)

経過年数(満年)ごとに、仏式と神道でどの節目にあたるかを整理しました。仏式は「数え」で、神道は「満年」で営むため、同じ経過年でも一方にしか節目がないことがあります。

経過年数(満) 仏式(回忌・数えで営む) 神道(年祭・満で営む) 備考
満1年 一周忌 一年祭 唯一一致する節目
満2年 三回忌 仏式のみ
満3年 三年祭 神道のみ
満5年 五年祭 神道のみ
満6年 七回忌 仏式のみ
満10年 十年祭 神道のみ
満12年 十三回忌 仏式のみ
満20年 二十年祭 神道のみ
満50年前後 五十回忌 五十年祭 弔い上げの時期は近いが計算の基準が違う

この表はあくまで一般的な整理です。名称が同じでも実際に営む年がずれること、年数の構成そのものが地域や神社によって異なることにご注意ください。仏式の年忌の考え方は仏式の法事で、忌明けの節目である四十九日については仏式の四十九日で解説しています。神道と比べる際の参考になさってください。

式年祭・霊祭 当日の流れ

事前の準備

まず神職の手配を行い、日取りを相談します。祖霊舎や霊璽を整え、祭場を清め、神饌(しんせん。米・酒・塩・水や、故人が好んだ食べ物など)や玉串、榊(さかき)を用意します。神道では、線香・焼香・数珠は用いません。仏式の感覚で線香やお香を準備する必要はない、という点にご注意ください。供物や祭場の整え方、当日必要なものに迷うときは、神職に相談すると安心です。参列の人数や会食(直会)の有無を早めに伝えておくと、当日の段取りがスムーズです。

服装と持ち物

服装は、五十日祭までの霊祭や一年祭では喪服が基本です。式年祭が年を重ねて規模が小さくなると、地味な平服とする場合もありますが、迷うときは主催のご家庭や神職に確認すると安心です。持ち物としては、数珠は用いません。参列者は玉串料(不祝儀袋)を持参し、あとはハンカチや念のための予備の白足袋・靴下など、仏式の弔事と同様の心づかいで整えれば十分です。

当日の進行

一般的な流れは次のとおりです。神社やご家庭によって細部は異なります。

  1. 修祓(しゅばつ):斎主が祓詞(はらえことば)を奏上し、参列者や供物を清めます(清祓い)。まつりに先立って場と人を清める、神事の基本となる所作です。
  2. 祭詞(さいし)奏上:斎主が故人の霊に向けて祭詞を奏上します。仏式の読経にあたる場面ですが、お経ではありません。故人の御霊を慰め、加護を願う言葉が捧げられます。
  3. 玉串奉奠(たまぐしほうてん):参列者が玉串を捧げ、拝礼します。仏式の焼香にあたる作法です。喪主・遺族から順に進むのが一般的です。
  4. 直会(なおらい):まつりのあとの会食です。神饌を下げていただくことで、故人や神とのつながりを確かめる意味があるとされます。省略される場合もあります。

玉串奉奠の作法

玉串(榊に紙垂〈しで〉をつけたもの)を受け取り、根元を神前に向けて捧げます。順序をおおまかに示すと、神職から玉串を両手で受け取り、祭壇の前へ進んで一礼し、玉串を時計回りに回して根元を神前へ向け、案(台)に供えます。続けて拝礼します。拝礼は二拝二拍手一拝が基本ですが、弔事では音を立てない「しのび手(忍手)」で拍手を行います。手を打ち合わせる直前で止め、音をたてないのが作法です。ただし、二拝四拍手一拝など神社によって拝礼の作法が異なる場合がありますので、迷ったときはその場の神職や周囲の方にならうか、事前に確認しておくとよいでしょう。作法の細かな正しさよりも、故人へ心を向けて静かに拝む姿勢がなにより大切にされます。

玉串料の目安(幅)と表書き

霊祭・式年祭に参列する際は、仏式の香典にあたるものとして玉串料を用意します。金額は地域・故人との関係・会食の有無によって変わるため、あくまで目安(幅)としてご覧ください。一点で断定できるものではありません。

  • 一年祭で一般の参列者:一万円前後が目安とされることが多いようです。
  • 親族や関係が深い場合、ご夫婦での参列:二〜三万円程度とする例もあります。

いずれも会食(直会)の有無などで変わります。地域やご親族の慣習にあわせてご判断ください。表書きは「御玉串料」「御榊料」「御供」などとします。仏式の「香典」「御布施」という言葉は用いません。「御神前」は式年祭以降に用いるとする考え方もあります(諸説あります)。のし袋は蓮の絵柄を避けて無地のものを選び、水引は黒白または双銀の結び切りとするのが一般的です。蓮の花は仏式の意匠のため、神道の弔事では避けます。のし袋・水引・新札の可否、遺族側がお渡しする御礼(御祭祀料など)といった細かな作法は地域やご家庭で異なりますので、玉串料の記事で詳しくまとめています。あわせてご確認ください。

ここまで数え方や作法を整理してきましたが、かたちや年数の正しさそのものよりも、故人を思い、静かに手を合わせるその心こそが、まつりのいちばん大切な芯にあります。祖霊となった大切な方は、いつも家の暮らしを見守ってくださっています。数え方や作法に迷うことがあっても、そのつど神職にたずねながら、一つひとつ整えていけば大丈夫です。かたちの正しさに縛られすぎず、ご家庭のできる範囲で、まごころを込めて祖霊をお祀りしていければ十分です。

よくある質問(FAQ)

神道に「法事・法要」はありますか?

あります。ただし呼び方が異なり、仏式の法事・法要にあたるものを、神道では「霊祭(れいさい)」「式年祭(しきねんさい)」、あるいは「祭祀(さいし)」と呼びます。忌の期間の十日祭〜五十日祭などが霊祭、一年祭以降の節目が式年祭です。

数珠・線香・焼香は使いますか?

神道の霊祭・式年祭では、数珠・線香・焼香は用いません。仏式の焼香にあたる作法として、玉串を神前に捧げる「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」を行います。拝礼は二拝二拍手一拝ですが、弔事では音を立てない「しのび手」とするのが一般的です。

「香典」と書いてよいですか?

「香典」は仏式の言葉です。神道では「御玉串料」「御榊料」「御供」などと表書きします。のし袋は蓮の絵柄を避け、黒白または双銀の結び切りを選ぶのが一般的です。詳しい作法は玉串料の記事をご参照ください。

霊祭・式年祭は神社で行いますか?

社殿では行わないのが一般的です。自宅の祖霊舎の前、墓前、斎場などで、神職をお招きして営むのが通例です。神道では死を穢れととらえる考え方があるため、清浄な神社の社殿とは場を分ける配慮によるものとされます。

何年祭まで営めばよいですか?

五十年祭を最後の区切り(弔い上げ)とすることが多いとされますが、三十年祭を区切りとしたり百年祭まで営んだりする例もあり、地域・神社・ご家庭によって異なります。一律に断定はできませんので、お世話になっている神社(神職)にご確認ください。

仏式の三回忌と神道の三年祭は、同じ年に営みますか?

いいえ、営む年が異なります。仏式の三回忌は命日を一回目と数える「数え」で満二年後、神道の三年祭は「満年」で満三年後に営むため、一年ずれます。仏式と神道で一致するのは「一周忌=一年祭(ともに満一年)」だけです。「三回忌だから三年祭」と機械的に対応させないようご注意ください。

この記事の執筆・監修者

奥本 一輝(お位牌Maker® 編集責任者)

全国の坐禅会を紹介する「坐禅会マップ」を運営。麗光堂による数多くの仏壇・仏具修復の現場経験をもとに、位牌・戒名・仏事の情報を編集・監修しています。

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