霊位や院号、道号、居士、大師って何?戒名にはランクがある?戒名についている漢字の意味が知りたい。などなど。
ここでは、位牌の戒名に書かれている院号や院殿号の起源、居士や大姉、道号などの起源や意味、戒名のランクについて解説します。
戒名の意味について詳しく解説
院号の院の起こりは離宮(りきゅう)
院という名称は天皇を退位し、太上天皇(上皇)になった場合や、皇后、皇太后、太皇太后の三后に対して贈られた名称です。
最も早い院号は嵯峨天皇が京都・嵯峨の地に離宮を造営し、そのを嵯峨院と称するようになった例であるとされます。
いずれにしても、院は元来高貴な人の住まいを称するもので、○○院と称することでその人そのものを表すようになったのです。
院殿号の意味
室町幕府を開いた足利尊氏(1305~1358)の戒名「等持院殿仁山妙義大居士」は初めての院殿号であると言われています。
等持院殿は元来、等持寺と呼ばれ、足利尊氏が建立したものでしたが、尊氏亡き後、等持院と名を改め、尊氏の戒名にも等持院の名前が配されました。
なぜ院殿という名称が生まれたのかというと、天皇や三后に対しての尊称に対して全く同じにすることをはばかった為で、将軍家や武家には院殿は多く付けられました。
本来は院号の方が上位に置かれますが、院殿は2文字であることから、現在では院殿が上位に置かれるようになりました。
道号とは何か
皆さんご存じの”一休さん”、一休禅師(1394~1481)の一休の部分は道号に当たります。一休禅師の本来の名前、戒名(出家名)は宗純。
この時代、本名を避けて呼ぶという習慣から、宗純ではなく、道号である一休の名前が知られるようになりました。
道号とは、元々中国の皇帝が道教修行者(仙人のようなもの)に下賜した称号です。
この道号の部分には、故人の人生、人柄、趣味などを意味する文字が当てられることが多くあります。
居士(こじ)・大姉(だいし)・大居士
居士とは僧侶にならず家庭において仏道に励む学徳にすぐれた男性のことを言います。
女性の場合は大姉となります。院殿号を持つ戒名の場合には、位号として大居士を付けます。
女性の場合は清大姉、大大姉とします。
古代インドの維摩居士(ゆいまこじ)は出家せず仏道に励んだ「居士」として知られています。
信士(しんし)・信女(しんにょ)
仏教の五戒や十善戒を守る男女を指すとも言います。
元々は武家や庶民に付けられる称号で、女性の場合は信女となります。
15歳以上の方のための位号です。
禅定門(ぜんじょうもん)・禅定尼(ぜんじょうに)
禅定とは悟りの境地を言います。位号における禅定門・禅定尼は十善戒を良く守り仏道に励む男女を指します。
童子・童女
子供に付けられますが、おおよそ満年齢で2・3歳~14歳までとされることが多いようです。
孩子(がいし)・孩女(がいにょ) 嬰子(えいじ)・嬰女(えいにょ)
満年齢では1歳~2歳の乳幼児のための位号が孩子・孩女です。
嬰子・嬰女は満年齢1歳以下の赤ちゃんのための位号です。
えいし・えいにょと呼ぶこともあります。
水子(すいし)
流産・死産した胎児のための位号。男女の性別は問いません。
みずことよく呼ばれますが、位号としてはすいしと呼ぶことが多いです。
霊と霊位と位
戒名の下には、霊、霊位と記されるのが一般的で、下文字とも呼ばれますが、室町時代に編纂された禅宗の「諸回向清規」では「霊」と「霊位」の違いについて次のように説明しています。
「荼毘(火葬)の前に霊の一文字を書く。新しくなくなった三十五歳前の者は霊の一字を用いる。三十歳移行は霊位とする」
何故か原文ではこのように年齢的な混同がありますが、年齢によって霊と霊位の違いを説明しています。
位牌を作る際は、霊位、位は基本的には省いて作るのが一般的です。(真言宗は除く)
夫婦の位号格は揃える
夫婦の場合、位号の格は揃えるのが一般的です。
戒名にはランクがある
例えばご主人が居士であれば妻は大姉、ご主人が信士であれば妻は信女となります。
本来、仏教は平等を解く教えなので戒名にランク付けはあってはならないのですが、実際にはランク付けがあります。
ランク付けは、〇〇院という院殿号、院号や、信士・信女、居士・大姉、大居士・清大姉、などの位号がついているほどランクが高いということになります。
こうしたランク付けは江戸時代の幕府の宗教政策によって定められたものです。
寺院によっては金銭以外のところでランクの線引きを行っているところもあり、その方の寺院に対する功績により決められるものなので、 金銭的なものも含めて大きな功績があった人に院号が与えられたりします。
しかし、現在では金銭によりランクが決まることの方が多いのが現状です。