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遺影の飾り方と置き場所|いつまで飾る・仏壇との関係

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結論:遺影の飾り方に厳密な決まりはありません

「遺影はどこに、どう飾ればいいの?」「仏壇の上に置いてはいけないと聞いたけれど本当?」——大切な方をお見送りしたあと、多くの方がこうした疑問を抱かれます。まず結論からお伝えします。遺影の飾り方や置き場所に、宗教的な厳密な決まりはほとんどありません。地域や宗派、その家の習わし、そして住まいの事情によって扱いは大きく異なり、「こう飾らなければならない」という全国共通のルールがあるわけではないのです。

迷ったときの目安として、まず次の3点を押さえておけば十分です。

  • ①飾る場所に厳格なルールはない——仏間・床の間はもちろん、リビングの棚や壁掛けでもかまいません。暮らしに合う、家族が手を合わせやすい場所で大丈夫です。
  • ②仏壇の「真上」や「中」には置かないとされることが多い——ただし諸説あり、絶対のタブーではありません。理由は後述しますが、「そこに置くと不幸になる」といった話ではありません。
  • ③四十九日までは後飾り祭壇に安置し、忌明け後は自由——期限の決まりはなく、無理に飾り続けなくても、しまっても、小さくしてもかまいません。

この記事では、遺影写真そのものを販売しない中立の立場から、置き場所・向き・高さ・時期、そして位牌との併せ方までを、断定を避けつつ整理します。宗教儀礼に関わる細かな点は地域や菩提寺(お寺)によって考え方が異なりますので、気になる場合はお付き合いのあるお寺や親族へご確認ください。

早見表①【時期 × 置き場所の目安】

まず、時期によって遺影の置き場所や扱いがどう変わるかを一覧にしました。あくまで一般的な目安で、義務ではありません。

時期 置き場所の目安 扱い・注記
逝去〜四十九日(忌中) 後飾り祭壇(中陰壇)にご遺骨・白木位牌とともに安置するのが一般的 祭壇の上段や中央に飾る例が多いとされます。宗派・地域で作法は異なります
四十九日(忌明け)後 仏間・床の間・リビングの棚・壁掛けなど、家に合う場所へ自由に 飾る義務はありません。飾らずにしまう選択も可
一周忌・三回忌などの区切り そのまま飾り続ける/小さくする/しまう、など家庭ごとに見直す例も 区切りで「外さねばならない」わけではありません。あくまで一つのタイミング
役目を終えたと感じたとき 片づけて保管、またはお焚き上げなどで処分 処分も供養のかたちの一つ。手順は処分の記事へ

このように、時期が進むほど扱いは自由になっていきます。以下では、それぞれの疑問をもう少し掘り下げていきます。

「仏壇の真上・中」に飾らないとされるのはなぜ?

遺影に関して最もよく聞かれるのが、「仏壇の上や中に飾ってはいけないの?」という不安です。結論としては、置いてはいけないという絶対の禁止ではありませんが、避けるほうが無難とされることが多い、というのが実情です。理由は宗教的な考え方に由来しており、「縁起」や「祟り」といった話ではありません。恐怖を煽るような説明は本来必要のないものですので、落ち着いて背景を知っておきましょう。

遺影は「拝む対象」ではなく「故人を偲ぶ写真」だから

そもそも遺影は、手を合わせて拝む信仰の対象ではなく、故人を思い出し、偲ぶための写真です。仏壇の中心にお祀りするのは、宗派のご本尊(仏さま)や、故人そのものを表すとされる位牌です。遺影は、そうした「拝む対象」とは性格が異なる「思い出の品」という位置づけになります。役割が違うからこそ、拝む対象を安置する仏壇の中央や内部とは、少し場所を分けて考えるのが自然だ——というのが、真上・中を避けるとされる考え方の根っこにあります。

仏壇の中は本尊の場所、真上は浄土を象徴するという考え方

もう少し具体的に言うと、次のような考え方が知られています。いずれも「〜とされる」という程度のもので、宗派・地域・家庭によって受け止め方は異なります。

  • 仏壇の中はご本尊と位牌の場所とされ、そこに遺影を入れると本尊が隠れてしまう、という考え方。
  • 仏壇の真上は浄土(仏さまの世界)を象徴する空間と捉える考え方があり、その真下・真上に人の写真を重ねるのを避ける、という見方。
  • 仏壇の真正面に遺影を向けて置くと、ご本尊を見下ろす・正対して見つめる形になってしまうため、少しずらすほうがよいとする配慮。

これらはあくまで諸説であり、一つに断定できるものではありません。実際、後飾り祭壇では遺影と位牌を一緒に並べますし、地域によっては鴨居に故人の写真を並べて掛ける習わしもあります。要は「必ずこうしなければならない」ではなく、「拝む対象と思い出の品を、なんとなく分けて考える」という緩やかな慣習だと理解しておくとよいでしょう。

「上に飾ると縁起が悪い・不幸になる」は俗説です

インターネットや口コミで、「仏壇の上に遺影を飾ると縁起が悪い」「家族に不幸が続く」といった話を目にすることがあります。これらの多くは風水的な解釈から広まった俗説であり、仏教の教えとして定まったものではありません。飾る場所によって誰かが不幸になる、というような因果は根拠のない考え方ですので、必要以上に怖がる必要はありません。

大切なのは、遺影を通じて故人を偲び、手を合わせる気持ちのほうです。「真上・中は避けるほうが無難」という慣習を知ったうえで、飾ってはいけないわけではない・無理に飾らなくてもよいと受け止めていただければ十分です。住宅事情でどうしても仏壇の近くしか置き場所がない、という場合でも、過度に思い悩む必要はありません。

位牌と遺影の役割の違い(位牌専門の立場から)

ここまで読むと、「では位牌と遺影は何が違うの?」という点が気になってくるかと思います。私たちは位牌を扱うブランドとして、両者の役割の違いを日々ご説明していますので、ここで整理しておきます。この違いが分かると、置き場所の考え方もすっきり腑に落ちます。

比較表:位牌は「信仰の対象」、遺影は「思い出の品」

項目 位牌 遺影
性格 故人の魂の依り代とされる信仰・供養の対象 故人を偲ぶための思い出の写真
基本の置き場所 仏壇の中(ご本尊より一段低い位置) 仏壇の外(仏間・床の間・リビングなど)
魂入れ(開眼供養) 一般に行うとされる 一般に不要とされる
用意する時期 四十九日の忌明けまでに本位牌を用意することが多い 通夜・葬儀までに用意することが多い
扱う専門 仏壇仏具店(当社もこちら) 写真店・葬儀社など

つまり、位牌は「中に納めて丁寧にお祀りするもの」、遺影は「外に飾って故人を偲ぶもの」という違いがあります。だからこそ、仏壇の中には位牌を、仏壇の外や少し離れた場所には遺影を、と自然に役割を分けて配置するとおさまりがよいのです。仏壇の中での位牌そのものの並べ方には、ご本尊を中央に据え、その一段低い位置に位牌を安置するといった順序の考え方があります。遺影はその外側で偲ぶ、と大まかに覚えておくと、細かな作法に迷ったときも判断の軸になります。

なお、四十九日を迎えるにあたって白木の仮位牌から塗りや唐木の本位牌へと作り替える流れがありますが、これは信仰の対象である位牌ならではの節目です。遺影には基本的にこうした作り替えや魂入れの手続きはなく、「用意して、飾って、偲ぶ」というシンプルな扱いになります。この違いを知っておくと、あとの判断がぐっと楽になります。

なお、位牌や遺影の扱いには宗派による幅もあります。たとえば浄土真宗では、亡くなった方はただちに仏(ほとけ)になるという教えから、位牌や遺影を「拝む対象」とはとらえず、法名を記した過去帳や法名軸を用いる考え方が一般的とされます。とはいえ、故人を偲ぶために遺影を飾ること自体を禁じるわけではありません。宗派ごとの細かな作法や考え方が気になる場合は、自己判断で決めつけず、菩提寺や親族に一度確認しておくと安心です。

いつまで飾る? 四十九日を境にした流れ(義務ではありません)

「遺影はいつまで飾るのが正しいの?」という質問もよくいただきます。これも明確な期限はありません。ただ、供養の流れのなかで扱いが変わる目安はありますので、時系列で見ていきましょう。繰り返しになりますが、下記はいずれも「そうしなければならない」ではなく、多くの家庭で見られる一般的な流れです。

四十九日までは後飾り祭壇に安置する

逝去から四十九日までの「忌中(中陰)」の間は、ご遺骨や白木位牌とともに、後飾り祭壇(中陰壇・後飾り)に遺影を安置するのが一般的です。この祭壇はご葬儀のあと自宅に設けられる仮の祭壇で、四十九日の忌明けまでの間、手を合わせる場所になります。遺影は祭壇の上段や中央あたりに飾られることが多いとされますが、これも地域や葬儀社の作法によって差があります。四十九日や忌明けの意味・過ごし方については四十九日(忌明け)の記事もあわせてご覧ください。

忌明け後は自由——飾り続けても、しまってもよい

四十九日の忌明けを迎えると、後飾り祭壇は片づけられます。このとき、遺影をどうするかは完全にご家庭の自由です。仏間や床の間、リビングなどに移して飾り続ける方もいれば、一旦しまって法要のときだけ出す方、写真を小さくしてコンパクトに飾る方もいます。どれも間違いではありません。「忌明け=必ず外さねばならない」わけでも、「ずっと飾り続けねばならない」わけでもない、と覚えておいてください。

一周忌・三回忌などの区切りで見直す家庭も

飾り方を見直すタイミングとして、一周忌や三回忌などの年忌法要を区切りにする家庭もあります。たとえば「三回忌を機に、大きな遺影はしまって小さな写真に替えた」といった具合です。ただし、これも宗教的な義務ではなく、あくまで一つの目安にすぎません。「何回忌までに片づけなければ失礼にあたる」といった決まりはありませんので、ご自身とご家族の気持ちが落ち着くタイミングで判断されて大丈夫です。心配な場合は菩提寺や親族へ相談してみるとよいでしょう。

どこに飾る? 置き場所の選択肢(早見表②)

次に、具体的な置き場所の選択肢を見ていきましょう。伝統的な場所から現代の住まいに合わせた場所まで、それぞれ向き・不向きがあります。

早見表②【場所 × 向いている家 × 注意点】

置き場所 向いている家 注意点
仏間・床の間 和室や仏間のある家 格が高い場所とされ落ち着く。仏壇の真正面は少しずらすと無難
鴨居・長押(なげし)に掛ける 和室のある伝統的な家 見上げる高さに。落下防止の固定を。額が重い場合は要注意
リビングの棚・サイドボード マンション・現代住宅 家族が集まり手を合わせやすい。直射日光と転倒に注意
壁掛け(フック・ピクチャーレール) 置き場所が限られる家 しっかり固定を。エアコンの風や湿気の当たる壁は避ける
寝室・個室 静かに偲びたい方 問題ありません。高温多湿・直射日光だけ避ける

伝統的な飾り方——仏間・床の間・鴨居に高めに掛ける

古くからの飾り方としては、仏間や床の間、あるいは和室の鴨居・長押(なげし)に高めに掛ける方法が知られています。鴨居に故人の写真を横一列に並べて掛ける光景は、昔ながらの日本家屋でよく見られたものです。見上げる高さに飾るのは、故人を敬い、上位に置くという気持ちの表れだとされます。仏間や床の間は家の中でも格の高い場所とされ、静かに手を合わせるのにふさわしい空間です。和室がある場合は、こうした伝統的な飾り方を選ぶと落ち着きます。

近年のリビング・棚・壁——現代住宅の事情に合わせてよい

一方で、マンションや現代の住宅では、仏間も床の間も鴨居もない、という家が増えています。その場合は、リビングの棚やサイドボードの上、あるいは壁掛けなど、暮らしに合った場所に飾ってまったく問題ありません。むしろ、家族が自然と集まるリビングは、日々「おはよう」「ただいま」と語りかけ、手を合わせやすい場所でもあります。故人を身近に感じられるという点で、現代の住まいにおいては合理的な選択です。

「リビングに飾るのは不謹慎では?」と気にされる方もいますが、そのようなことはありません。大切なのは場所の格式よりも、故人を偲ぶ気持ちと、家族が手を合わせやすいかどうかです。写真の大きさが場所に合わない場合は、無理に大きな額のまま飾らず、少し小さめの写真に替える方法もあります。飾る場所に合わせて額のサイズを見直すと、圧迫感なく、暮らしになじむ飾り方になります。

避けたほうがよいとされる場所——直射日光・水回り・高温多湿

宗教的なタブーとは別に、写真を長持ちさせるという実務の観点から、避けたほうがよい場所もあります。これは根拠のある実用的な注意点です。

  • 直射日光の当たる場所——写真や額が退色・変色しやすくなります。窓際は避けるか、レースカーテン越しに。
  • 水回り・湿気の多い場所——キッチンの油煙、浴室の近く、結露しやすい窓辺などは、カビや傷みの原因になります。
  • 高温多湿・温度差の激しい場所——エアコンの真下や暖房器具のそばは、額のゆがみや写真の劣化につながることがあります。

これらに加えて、前述のとおり仏壇の真上・真正面も、慣習の面でも保管の面(ろうそくや線香の熱・煙が当たりやすい)でも、避けておくと無難です。

向き・高さの一般的な配慮(諸説・地域差があります)

「遺影はどの方角に向けるのが正しいの?」という質問もありますが、これも厳密な決まりはありません。いくつかの説を知ったうえで、住宅事情を優先して構いません。

向きに厳密な決まりはない

遺影の向きについては、「東向きや南向きがよい」とする説を見かけることがあります。これは仏壇の向きに関する考え方(南向きに置く「南面北座」など)から派生したもので、遺影そのものに定まったルールがあるわけではありません。宗派や地域によっても考え方は異なりますので、方角にこだわりすぎると置き場所がなくなってしまう場合もあります。実際の住まいでは、家族が手を合わせやすい向きを優先して差し支えありません。どうしても気になる場合は、菩提寺に尋ねてみるのが確実です。

見上げる高さに飾る慣習と、仏壇と正対させない配慮

高さについては、前述のとおり見上げる程度の高い位置に飾る慣習が知られています。故人を敬う気持ちの表れとされますが、これも「必ず」ではありません。棚の上など目線の高さに置く家庭も多くあります。もう一つ配慮としてよく言われるのが、仏壇とちょうど正面から向かい合う(正対する)位置は避けるという点です。ご本尊や位牌と遺影が正面から見つめ合う形になるのを避け、少し角度をずらしたり、横の壁面に飾ったりする、というものです。いずれも「とされる」程度の緩やかな配慮ですので、神経質になりすぎる必要はありません。

位牌と遺影を一緒に置くときのレイアウト

仏壇のある家では、「位牌と遺影をどう並べればいいのか」で迷いがちです。基本の考え方はシンプルで、位牌は仏壇の中、遺影は仏壇の外です。

仏壇の横に台や棚を設け、真正面を避けて飾る

おすすめの一例は、仏壇の横(脇)に小さな台や棚を設け、そこに遺影を飾る方法です。こうすれば、仏壇の中の位牌・ご本尊のスペースを妨げず、遺影も故人を偲ぶ場所としてすぐそばに置けます。前述の「真正面を避ける」配慮から、仏壇の真上や真ん前ではなく、少し横にずらして飾るとおさまりがよいでしょう。仏壇内での位牌の並べ順に迷ったら、位牌の置き方の記事も役立ちます。仏壇そのものの選び方や飾り方については、当社では仏壇を販売しない中立の立場から別途整理していますので、置き場所を決める前にあわせて参考にしてください。

仏間やリビングにまとまったスペースが取れる場合は、遺影を中心に、季節の花や故人の好きだったものを添えて、ささやかな「偲ぶコーナー」をつくるのもよい方法です。かたちにとらわれず、家族が心地よく手を合わせられる配置を工夫してみてください。

遺影が増えてきたら(先祖代々・複数のとき)

年月が経つと、ご両親、祖父母……と遺影が少しずつ増えていきます。「全部飾らないと申し訳ない」と感じる方もいますが、すべてを飾らなければならない決まりはありません。

全部を飾らなくてよい/並べる順番は諸説

飾りきれない場合は、無理に全部を並べる必要はありません。よくお参りする故人の遺影だけを飾り、ほかは丁寧にしまっておく、という形で十分です。複数を並べる場合の順番については、向かって右側を上位とする説や、亡くなった順に並べる説などがありますが、これらも諸説であり地域差があります。「こう並べるのが唯一の正解」というものではありませんので、迷ったらご年配の親族や菩提寺に確認しつつ、見やすく落ち着く並べ方にすれば大丈夫です。

しまう・小さくする・まとめるという選択

遺影が増えたときの現実的な選択肢としては、次のようなものがあります。

  1. しまう——普段はしまい、命日や法要のときだけ出して飾る。
  2. 小さくする——大きな額から手のひらサイズの写真立てに替え、省スペースに。
  3. まとめる——複数の写真を一つのフレームやアルバムに整理する。

これは、位牌が増えたときの考え方ともよく似ています。古い位牌が増えて仏壇に納まりきらなくなった際に、位牌を一つにまとめる(先祖代々の位牌に整理する)という方法があるのと同じで、遺影も「増えたら整理する」で構いません。位牌と遺影をセットで考えると、家全体の供養の場がすっきりと整います。ただし、遺影と位牌では扱いが違い、位牌のまとめには魂抜き・魂入れといった手続きが関わる点だけご留意ください。

飾らない・データで持つ選択も可(無理に飾らなくてよい)

最後に、あまり語られない選択肢についても触れておきます。それは、「あえて飾らない」「データで持つ」という選び方です。これも立派な供養のかたちの一つです。

デジタルフォトフレーム/データ保存という現代的な持ち方

住宅事情や家族の考え方から、大きな遺影を常に飾ることが負担に感じられる場合もあります。そうしたときは、無理に飾らなくてもかまいません。写真をデータとして大切に保存しておき、命日や法要のときにデジタルフォトフレームやタブレット、スマートフォンで表示して偲ぶ、という持ち方もあります。複数の思い出の写真をスライドショーで見られる点も、現代的でやさしい供養のかたちです。

そして、役目を終えたと感じたときには、片づけて処分することも供養の一つです。遺影は魂を宿す信仰の対象ではないとされますので、いつまでも飾らねばならない、という縛りはありません。処分の際に「そのまま捨てるのは気が引ける」という方のために、お焚き上げなどの方法があります。具体的な手順や依頼先については遺影の処分・お焚き上げで詳しくまとめていますので、そちらをご覧ください。

まとめ——飾り方に正解はなく、偲ぶ気持ちが第一

ここまで見てきたとおり、遺影の飾り方に唯一の正解はありません。仏壇の真上・中は避けるとされることが多いものの、それも絶対の禁止ではなく、「縁起が悪い」という俗説に振り回される必要もありません。四十九日までは後飾り祭壇に、忌明け後は仏間でもリビングでも、暮らしに合う場所で。向きや高さも、家族が手を合わせやすいことを優先して構いません。

整理すると、信仰・供養の対象である位牌は仏壇の中で丁寧に、故人を偲ぶ思い出の品である遺影は仏壇の外で暮らしに合わせて——この役割分担さえ押さえておけば、配置に大きく迷うことはありません。四十九日に向けて本位牌をご用意される時期でもありますので、位牌の置き場所や作り替えについて確認したい方は、本位牌の解説もあわせてお役立てください。

飾り方や置き場所は、時代や住まいとともに変わっていくものです。かたちや作法にとらわれすぎず、故人を思い、静かに手を合わせるひととき——その祈りの気持ちこそが、何より大切にしたいものです。

よくある質問(FAQ)

遺影は仏壇の上に飾ってはいけませんか?

絶対に飾ってはいけない、という決まりはありません。ただし、仏壇の中はご本尊や位牌の場所、真上は浄土を象徴する空間とする考え方から、真上・真正面は避けるほうが無難とされることが多いです。「上に飾ると縁起が悪い・不幸になる」というのは風水由来の俗説で、仏教の教えではありませんので、過度に心配する必要はありません。置き場所が限られる場合は、仏壇の横に少しずらして飾るとよいでしょう。

遺影に魂入れ(開眼供養)は必要ですか?

一般に、遺影には位牌のような魂入れ(開眼供養)は不要とされています。遺影は手を合わせて拝む信仰の対象ではなく、故人を偲ぶための写真という位置づけだからです。魂入れを行うのは、故人の依り代とされる位牌や、ご本尊、仏壇などが中心です。ただし宗派や地域の考え方には幅がありますので、気になる場合は菩提寺(お寺)にご相談ください。

遺影はいつまで飾ればよいですか?

明確な期限はありません。四十九日までは後飾り祭壇に安置し、忌明け後は飾り続けても、しまっても、小さくしても自由です。一周忌や三回忌などの区切りで見直す家庭もありますが、これはあくまで目安で、宗教的な義務ではありません。役目を終えたと感じたときに片づける・処分するのも、供養のかたちの一つです。ご家族の気持ちが落ち着くタイミングで判断して差し支えありません。

マンションや賃貸で仏間がなくても飾れますか?

もちろん飾れます。仏間や床の間、鴨居がなくても、リビングの棚やサイドボードの上、壁掛けなど、暮らしに合う場所でまったく問題ありません。家族が集まり手を合わせやすい場所であることのほうが大切です。壁掛けや棚の上に置く場合は、直射日光・湿気・転倒に注意し、写真が長持ちするように配慮しましょう。写真が大きすぎる場合は、小さめの写真立てに替える方法もあります。

遺影は必ず用意しなければいけませんか?

必ず用意しなければならないという決まりはありません。ご葬儀の場では祭壇に飾ることが多いため準備される方がほとんどですが、その後どう扱うかは自由です。飾らずにデータで持つ選択もあります。遺影写真の準備の仕方やサイズ・背景の選び方など、用意する際のポイントは遺影写真の準備の記事で解説していますので、これから用意する方はそちらをご覧ください。

遺影を処分したいときはどうすればいいですか?

遺影は魂を宿す信仰の対象ではないとされるため、役目を終えたと感じたら処分してかまいません。とはいえ、故人のお顔が写った写真をそのまま捨てるのは気が引けるという方も多く、その場合はお焚き上げを受け付けるお寺や専門業者に依頼する、写真を小さくデータ化して手元に残すなどの方法があります。かたちよりも、故人への感謝の気持ちを添えて丁寧にお見送りすることを大切にしてください。

この記事の執筆・監修者

奥本 一輝(お位牌Maker® 編集責任者)

全国の坐禅会を紹介する「坐禅会マップ」を運営。麗光堂による数多くの仏壇・仏具修復の現場経験をもとに、位牌・戒名・仏事の情報を編集・監修しています。

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