新しく仏壇を迎えたとき、「本尊や位牌、仏具をどこにどう並べればいいのか」と迷う方は多いものです。まず要点をまとめます。
- 仏具の基本は「三具足(みつぐそく)」=花立・香炉・燭台の3点。これで十分です。
- 並べる順は向かって左に花立/中央に香炉/右に燭台。
- 本尊は最上段の中央、位牌は本尊より一段低い段に置きます。
- 浄土真宗は位牌を置きません(法名軸・過去帳を用います/後述)。
この記事では、仏壇の段構成・仏具の配置・本尊と位牌の位置・宗派別の飾り方を、仏壇を売らない立場から中立にまとめます。なお「何をお供えするか(お仏飯・お菓子・果物など)」や「花の選び方」は別の記事でくわしく解説し、ここでは"どこに置くか"までを扱います。豪華に飾ることよりも、毎日清潔に整える——その心がいちばん大切です。
仏壇の飾り方の全体像──まず段構成を知る
多くの仏壇は上段・中段・下段の3段構成です。置くものの優先順位は次のとおりです。
| 段 | 置くもの |
|---|---|
| 上段(須弥壇) | 本尊(中央)と脇侍(左右) |
| 中段 | 位牌(本尊より低く・右奥が上座)、過去帳・法名軸、仏飯器・茶湯器 |
| 下段(前卓など) | 三具足(花立・香炉・燭台)、おりん、お供え |
上置き仏壇(ミニ仏壇)は2段ほどに収まることが多く、無理にすべてを揃える必要はありません。スペースが狭い場合の優先順位は香炉 → 燭台 → 花立 → 位牌(または法名軸)。本尊は置ければ最上段中央に、仏飯器・茶湯器は省いても差し支えありません。
三具足と五具足──基本セットの配置と向き
三具足(日常の基本)
毎日の飾りは三具足で十分です。並べ方は——
- 向かって左:花立(お花)
- 中央:香炉(お線香)
- 向かって右:燭台(ろうそく)
香炉の足が3本のものは1本を奥(仏壇側)、2本を手前に。1本足の香炉はその1本を手前(拝む側)に向けます。
仏具は数を増やすほど立派になるわけではありません。三具足をいつもきれいに整えておくことのほうが、たくさん並べることよりも大切です。
五具足(法事・法要などの正式な飾り)
一周忌などの法要では、より正式な五具足にすることがあります。中央に香炉、その両側に燭台、いちばん外側に花立(花立2・燭台2・香炉1)という対称の並びです。普段は三具足、改まった日は五具足、と覚えておけば十分です。
本尊・脇侍・位牌の配置
本尊は最上段の中央(最優先)
仏壇の中心はご本尊です。最上段の中央に安置します。本尊は宗派で異なるため(後述)、迷う場合は菩提寺に確認してから迎えます。
脇侍は本尊の左右
本尊の左右に脇侍(わきじ)を掛軸などで配します。こちらも宗派で異なります。
位牌は本尊より一段下・右奥が上座
位牌は本尊より一段低い段に置き、本尊を隠さないようにします。位牌が複数あるときは向かって右奥が上座で、古いご先祖の位牌から順に納めます。複数位牌のくわしい並べ方は「位牌の置き方」をご覧ください。
過去帳・法名軸の置き場所
過去帳は見台(台)にのせて中段へ。浄土真宗で用いる法名軸は仏壇の側面に掛けます。詳しくは「法名軸とは」「過去帳の書き方」へ。
故人の写真(遺影)は仏壇の中に置かない
仏壇の中は仏様の空間であり、遺影は仏具ではないため仏壇の中には入れないのが基本です。仏壇の横や、前に小さな台を設けて飾るとよいでしょう。どうしても中に置く場合は、本尊や位牌の正面を遮らない位置にします。
宗派別 本尊・脇侍の早見表
本尊と脇侍は宗派によって異なります。代表的な組み合わせは次のとおりです。
| 宗派 | 本尊(中央) | 脇侍(向かって右/左) | 位牌 |
|---|---|---|---|
| 天台宗 | 釈迦如来 または 阿弥陀如来 | 伝教大師/天台大師(諸説あり) | あり |
| 真言宗 | 大日如来 | 弘法大師/不動明王 | あり |
| 浄土宗 | 阿弥陀如来 | 善導大師/法然上人 | あり |
| 浄土真宗本願寺派(西) | 阿弥陀如来 | 親鸞聖人/蓮如上人(または名号) | なし(法名軸・過去帳) |
| 浄土真宗大谷派(東) | 阿弥陀如来 | 名号(または親鸞聖人・蓮如上人) | なし(法名軸・過去帳) |
| 曹洞宗 | 釈迦如来 | 道元禅師/瑩山禅師 | あり |
| 臨済宗 | 釈迦如来(寺による) | 寺・派により異なる | あり |
| 日蓮宗 | 大曼荼羅(掛軸) | 鬼子母神/大黒天(日蓮聖人像を置く場合も) | あり |
| 神道 | 仏壇でなく祖霊舎を用いる | — | 位牌でなく霊璽 |
※本尊・脇侍は宗派・本山・地域・寺院により異なる場合があります。表はあくまで目安です。正式には菩提寺に確認してください。各宗派のくわしい飾り方・本尊・梵字は、専門の記事をご覧ください——「曹洞宗」「真言宗」「浄土宗」「日蓮宗」「天台宗」「浄土真宗」「神道(神式)」。
浄土真宗の特例──位牌でなく法名軸・過去帳
浄土真宗では、亡くなった方はただちに仏となるという教えから、位牌を用いず、法名軸(掛軸)か過去帳を祀ります。仏具も四具足を用いるなど作法が異なります。位牌を新調する前に、まず菩提寺に法名軸・過去帳どちらにするかを確認すると確実です。詳しくは「浄土真宗の位牌・本尊」へ。
仏壇を置く場所と向きの考え方
適した場所・避けたい環境
仏間・床の間が定番ですが、リビングでも構いません。方角よりも環境が大切で、直射日光・湿気・エアコンの直風が当たる場所は避けます(変色や反り、傷みの原因になります)。
方角の3つの考え方
- 南面北座説……南向きに置く(採光・風通しの実用面)。
- 西方浄土説……東向きに置く(西方浄土に向かって拝む)。
- 本山中心説……拝む延長線上に宗派の本山が来る向き。
絶対的な決まりはなく、置きやすい向きで構わないとする考え方も広まっています。宗派の方針は菩提寺に確認しましょう(置き場所・向きのくわしい解説は「仏壇の選び方」にもあります)。
神棚と同じ部屋に置く場合
仏壇と神棚を同じ部屋に置いても問題ありません。ただし向かい合わせにしない(一方を拝むともう一方に背を向けるため)、上下に重ねて置かないの2点に配慮します。
よくある質問
Q. 三具足の並べ方は?左右どちらに何を置きますか?
向かって左に花立、中央に香炉、右に燭台です。香炉の足が3本なら奥に1本・手前に2本、1本足なら手前(拝む側)に向けます。法要などの正式な場面は五具足(花立2・燭台2・香炉1)にし、外側から花立・燭台・中央に香炉と対称に並べます。
Q. 位牌はどの段のどこに置きますか?
本尊より一段低い段に、本尊を隠さないように置きます。向かって右奥が上座で、古いご先祖の位牌からそこに納めます。複数ある場合は「位牌の置き方」をご覧ください。
Q. 浄土真宗は位牌を置かないと聞きました。何を置きますか?
位牌の代わりに法名軸(掛軸)を仏壇の側面に掛けるか、過去帳を見台にのせて置きます。本願寺派・大谷派でも細部が異なるため、菩提寺に確認するのが確実です。
Q. ミニ仏壇でスペースが狭いとき、仏具は何を優先しますか?
「香炉 → 燭台 → 花立 → 位牌(または法名軸)」の順です。本尊は置ければ最上段中央に。仏飯器・茶湯器は省いて構いません。置ける範囲で清潔に整えることが大切です。
Q. 仏壇に故人の写真を飾ってもいいですか?
仏壇の中は仏様の空間なので、遺影は中に入れず、仏壇の横や前の小さな台に飾るのが一般的です。中に置く場合は本尊・位牌の正面を遮らない位置にします。
Q. 仏壇の向きに決まりはありますか?
絶対的な決まりはありません。南面北座説(南向き)・西方浄土説(東向き)・本山中心説の3つが代表的です。生活環境に合わせて置きやすい向きで構わないとする考え方も広まっています。宗派の方針は菩提寺へ。
Q. 神棚と仏壇を同じ部屋に置いて大丈夫ですか?
問題ありません。ただし向かい合わせにしない・上下に重ねないの2点に配慮します。
まとめ──毎日の最低限チェックリスト
- 三具足(左:花立/中:香炉/右:燭台)が基本。数より清潔さ。
- 本尊は最上段中央、位牌は一段下・右奥が上座(本尊を隠さない)。
- 浄土真宗は位牌でなく法名軸・過去帳。迷ったら菩提寺へ。
- 遺影は仏壇の中に入れない。
飾り方はあくまで手段で、目的は故人やご先祖へ手を合わせることです。形を完璧にすることより、毎日少しでも心を向けて整える——それがいちばんの供養になります。
仏壇の中心となるのは故人の本位牌です。四十九日に白木位牌から本位牌へ移す流れは「四十九日法要」、本位牌の選び方は「本位牌とは」をご覧ください。お位牌Maker®は全国の寺院・僧侶にもご利用いただいている本位牌の通販です(文字入れ・送料込み・最短当日発送)。
