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過去帳の見台と置き方|仏壇のどこに置く・命日に開く作法

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「過去帳は仏壇のどこに置けばいいの?」「見台には載せた方がいいの?」「毎日めくるもの?」——お位牌の制作を通じて、こうしたご相談をよくいただきます。まず、先に結論からお伝えします。

過去帳は「見台(けんだい)」という小さな台に載せて立て、命日のページを開いて、ご本尊(ごほんぞん)の一段下・向かって右にお祀りするのが一般的です。ただし、これは「よくある祀り方」であって、「必ずこうしなければ失礼」という決まりではありません。普段は閉じておくご家庭も多く、開いていても閉じていても、どちらも失礼にはあたりません。仏壇の形・宗派・地域・ご家庭の慣習によって、作法には幅があります。

この記事では、位牌の制作を長く手がけてきた立場から、見台の役割と選び方、仏壇の中での置き場所、命日のページを開く風習とめくるタイミング、位牌と一緒に置くときの配置、そして「見台がない・揃えられないとき」の考え方まで、売り込みを抜きにして中立にご案内します。迷ったときは、菩提寺(ぼだいじ)の作法を最優先になさってください。

【結論】見台に載せて命日のページを開き、本尊の一段下・向かって右に祀るのが一般的

もう一度、要点を整理します。過去帳の置き方・扱い方の「よくある形」は次のとおりです。ただし、いずれも「一つの目安」であり、地域やお寺、ご家庭によって異なります。

  • 見台に載せる——過去帳を立てて見やすくするための台が見台です。あってもなくてもかまいませんが、載せると開いたページが見やすく、倒れにくくなります。
  • 命日のページを開く——日付入りの過去帳なら、その月のご命日にあたるページを開いておくのが一般的です。普段は閉じておくご家庭もあります。
  • 置き場所はご本尊の一段下・向かって右——ご本尊やお位牌を隠さない位置に置きます。段の少ない仏壇では下段や引き出し(膳引き)に置くこともあります。

まず要点を早見表で

ポイント 一般的な目安 ヘッジ(諸説あり)
見台は必要? 載せると見やすく倒れにくい 必須ではない。なくても供養はできる
仏壇のどこに置く? ご本尊の一段下・向かって右 「必ずここ」という決まりはない。仏壇の形で変わる
普段は開く?閉じる? 命日のページを開いておく家が多い 普段は閉じておく家も。どちらも失礼ではない
めくるタイミング 毎朝1ページ、または月命日・命日に ご家庭・宗派で異なる。義務ではない
位牌との関係 位牌が主(依代)、過去帳は家の記録 浄土真宗など、位牌観が異なる宗派もある

大前提──宗派・地域・仏壇の形で作法は変わる。迷ったら菩提寺の作法が最優先

この記事の中では「一般的には」「〜が多い」という言い回しを繰り返します。これはあいまいにしているのではなく、過去帳の扱いに全国共通の唯一の正解が存在しないためです。同じ宗派でも地域によって作法が違い、同じ地域でもお寺やご家庭によって考え方が異なります。特に浄土真宗のように、そもそもお位牌を基本的に用いず、過去帳や法名軸(ほうみょうじく)を中心に用いる宗派もあります。

ですから、この記事を読んで「うちのやり方と違う」と感じても、ご自宅のこれまでのやり方が間違っているわけではありません。ご不安なときや、正式な作法をきちんと確かめたいときは、まず菩提寺(ふだんお付き合いのあるお寺)にご確認いただくのが確実です。以下は、そのうえでの一般的な考え方としてお読みください。

見台(けんだい)とは──過去帳を立てて飾る小さな台

見台とは、過去帳を開いた状態で立てかけ、見やすく飾るための小さな台のことです。書見台(しょけんだい)を小型にしたような形で、斜めの面に過去帳を載せると、開いたページの戒名(かいみょう)やお名前が正面から読みやすくなります。閉じたままの過去帳を平置きするより、載せておくと日々のお参りのときに手に取りやすく、うっかり倒してしまうことも少なくなります。

なお、「過去帳とは何か」「位牌や法名軸とどう違うのか」といった根本的な成り立ちについては、話が広がりすぎるためここでは深入りしません。この記事では、あくまで「見台と過去帳の実務的な扱い方」に絞ってご案内します。

形状──足あり・足なしの違い

見台の形は、大きく分けて「足あり」と「足なし」があります。

  • 足あり(高さのあるタイプ)——数センチの脚が付いていて、過去帳を少し高い位置に飾れます。段のしっかりした大きめの仏壇や、床置きの重厚な仏壇では、こちらが選ばれることが多いです。
  • 足なし(平型・低いタイプ)——脚がなく、低く安定した形です。棚の上に置く上置き仏壇や、背の低いモダン仏壇のように、内部の高さに余裕がない仏壇では、こちらの方が収まりよく置けることが多いです。

どちらでなければいけない、という決まりはありません。仏壇の中の高さと、ご本尊やお位牌を隠さないかどうかで選べば十分です。

素材と向き──唐木・金襴・モダン。本尊を隠さない向きで

見台の素材は、紫檀(したん)・黒檀(こくたん)などの唐木(からき)を用いた落ち着いたもの、金襴(きんらん)の布を張った華やかなもの、明るい木目や現代的な色合いのモダンなものなど、さまざまです。仏壇の雰囲気に合わせて選ぶと、見た目のまとまりがよくなります。とはいえ、これも供養そのものの正しさを左右するものではありませんので、あるものを丁寧に使えば十分です。

向きは、開いたページが正面(お参りする側)から読める向きに置きます。このとき大切なのは、見台や過去帳がご本尊やお位牌の正面を隠してしまわないことです。過去帳はご先祖の記録として大切なものですが、仏壇の中心はあくまでご本尊です。ご本尊が隠れない位置・向きに整えるのが、落ち着いた祀り方の目安になります。

見台の選び方──過去帳の寸法に合わせる

見台を用意するときにいちばん迷いやすいのが「サイズ」です。ここでは価格や商品比較には触れず、あくまで「バランスの取り方」という実務の角度でご説明します。見台や過去帳本体の値段の目安、セットで買うか別々に買うか、記入のお布施(お礼)といった費用の話は、別記事の過去帳の値段・記入費用で詳しくまとめていますので、そちらをご覧ください。

三寸・四寸などサイズの目安

過去帳には三寸・四寸といった大きさがあり、見台もそれに合わせて選びます。サイズ選びの考え方については、実は競合する解説の間でも意見が分かれており、「過去帳と同寸(同じ大きさ)を選ぶ」という説と、「過去帳より一回り小さめを選ぶ」という説の両方があります。

どちらか一方が正解というより、次のように考えると迷いにくくなります。

  • 過去帳と同寸〜一回り小さめが目安——過去帳が見台からはみ出しすぎず、かつ載せたときに前へ倒れない安定感があるかどうかを基準にします。
  • 倒れず、本尊を隠さないバランスで——見台が大きすぎると仏壇の中で場所を取り、ご本尊やお位牌を隠しがちです。小さすぎると過去帳が不安定になります。実物を仏壇に置いたときの見え方で決めるのが確実です。

三寸・四寸という表記はあくまで目安です。過去帳の実寸(縦横の長さ)を測っておくと、見台選びで迷いにくくなります。

仏壇の大きさ・タイプで選ぶ

仏壇のタイプによっても、収まりのよい見台は変わります。

  • 大きな床置き仏壇・伝統的な唐木仏壇——段に高さがあり、足ありの見台や、しっかりした唐木の見台がよく合います。
  • 上置き仏壇(棚や台の上に置く小型仏壇)——内部の高さに余裕が少ないため、足なしの低い見台が収まりやすい傾向です。
  • モダン仏壇(家具調)——木目や色を仏壇本体に合わせると、全体が落ち着いて見えます。厳密な決まりは薄いので、見やすさとめくりやすさを優先して選べば十分です。

仏壇のどこに置く──本尊・位牌との上下と前後(本記事の核心)

「過去帳を仏壇のどこに置くか」は、いちばんご質問の多いところです。ここは本尊・お位牌・過去帳という三者の位置関係で考えると、すっきり整理できます。

基本は本尊より一段下・向かって右。ただし「必ずここ」という決まりはない

仏壇の中は、上から下へと格の高いものを配置していくのが一般的な考え方です。いちばん上(または中央の一段高い位置)にご本尊、その下にお位牌、そして過去帳はご本尊より一段下・向かって右あたりに置かれることが多いです。向かって右は、お位牌などを置く場所として重んじられることがあるためですが、これも地域やお寺によって左右の考え方が異なる場合があります。

大切なのは、「上下の格」と「本尊を隠さないこと」という二つの原則です。段数の多い仏壇なら本尊・位牌・過去帳をきれいに段違いで配置できますが、段の少ない仏壇では、そこまで厳密に分けられないこともあります。その場合でも「本尊を隠さず、過去帳が倒れず、お参りしやすい」位置であれば、神経質に考える必要はありません。「必ずここでなければならない」という唯一の正解はない、と覚えておいてください。

位牌との関係──位牌が主(依代)、過去帳は「家の記録」

お位牌と過去帳は、役割が少し異なります。ここは位牌を専門に扱う立場から、有用な整理としてご紹介します(ただし、後述するように宗派によって位牌観は異なります)。

  • お位牌——故人お一人おひとりの戒名(法名)を記し、故人の魂の依(よ)りどころ(依代・よりしろ)としてお祀りする、いわば供養の「主役」です。詳しくは本位牌とは位牌とは・種類のページで整理しています。
  • 過去帳——ご先祖代々の戒名・俗名(生前のお名前)・没年月日・行年(享年)などを記録しておく、いわば「家系の記録帳」としての役割が中心です。

ですから、日々のお参りでは、まずご本尊とお位牌に手を合わせ、過去帳はその家の歩みを伝える記録として、そっと寄り添うように置いておく——という関係で考えると分かりやすいでしょう。

お位牌には基本的に一人分(繰り出し位牌でも数名分)の戒名しか記せませんが、過去帳には代を重ねた多くのご先祖の記録をまとめて残せます。何代も前のご先祖のお名前や続柄、亡くなった年をたどれるのは、過去帳ならではの役割です。お位牌と過去帳は、どちらかがあればもう一方は要らない、という関係ではなく、役割を分け合って家の供養を支え合うもの、と考えるとしっくりきます。

下段・膳引き(引き出し)に置く例と、実用面の配慮

仏壇によっては、下段や、手前に引き出せる棚板「膳引き(ぜんびき)」に過去帳を置くこともあります。膳引きに置くと、お参りのときだけ手前に引き出してページを確認でき、普段は奥に納めておけるので、すっきりと使えます。

置き場所を決めるときは、実用面もあわせて考えると安心です。ろうそくや線香の火が近すぎない位置か、手が届きやすくめくりやすい高さか、といった点に気を配ると、日々の扱いがぐっと楽になります。特に紙の過去帳は火に弱いので、火元との距離には少し注意しておくとよいでしょう。

なお、仏壇の中には過去帳や位牌のほかに、香炉(こうろ)・花立(はなたて)・燭台(しょくだい)といったお参りの道具も並びます。これらは手前の卓(前卓)やお膳の上に置かれることが多く、過去帳はその奥または脇にあたる位置に収まります。過去帳を置く際は、線香やろうそくの正面を大きくふさがないか、火の粉が飛びやすい真上に来ていないか、といった点も一度見ておくと安心です。

日々の置き場所で気をつけたいこと

過去帳と見台を気持ちよく使い続けるために、置き場所では次の点にも軽く気を配っておくと安心です。直射日光が長く当たる場所は、表紙や紙の日焼け・色あせの原因になりますので避けたいところです。また、湿気のこもりやすい場所も、紙物にはあまり向きません。ほこりが気になるときは、乾いたやわらかい布でそっと払う程度にとどめ、水や洗剤で拭いたり、強くこすったりはしないのが無難です。これらは「こうしないと失礼」という作法の話ではなく、大切な記録を長く良い状態で受け継いでいくための、ちょっとした心づかいとお考えください。

モダン仏壇・上置き仏壇では厳密な決まりは薄い

家具調のモダン仏壇や、コンパクトな上置き仏壇では、段の構成が伝統的な仏壇と異なります。こうした仏壇では、上下の段を厳密に分けること自体が難しいため、「本尊・位牌より過去帳が目立ちすぎない」「見やすくめくりやすい」位置であれば十分です。決まりに縛られすぎず、ご家庭で心地よく手を合わせられる配置を選んでください。

普段は開く?閉じる?──命日のページを開く風習

「過去帳は開いたまま飾るもの?それとも閉じておくもの?」——これもよくいただくご質問です。結論として、開いていても閉じていても、どちらも失礼ではありません。ご家庭や地域の慣習で分かれます。

日付入り過去帳──1〜31日で当月命日のページを開く仕組み

過去帳には、各ページに日付(1日〜31日)があらかじめ印刷された「日付入り」のものがあります。故人の没日にあたるページに戒名などを記入しておくと、その月にご命日を迎える方のページを開いておくだけで、月命日(毎月めぐってくる故人の命日)を自然に思い出せる仕組みです。例えば15日が命日の方なら、毎月15日ごろに「15日」のページを開いておく、という使い方になります。

なお、日付ありと日付なしのどちらを選ぶか、どこに何を書くかといった記入の詳細は、別記事の過去帳の書き方にまとめています。この記事では「めくる・開く」という扱いの角度だけ触れています。

日付なし過去帳の扱い

一方で、日付のない過去帳や、命日順ではなく亡くなった順に記していく過去帳もあります。この場合は「その日のページを自動的に開く」という使い方にはなりません。ご命日や法事のときに、その方が記されているページを開いてお参りし、普段は閉じておく、という扱いにするご家庭が多いようです。日付入りの運用像を、すべての過去帳に一律に当てはめる必要はありません。

開いて飾る家・普段は閉じる家、どちらも失礼ではない

「開いたまま飾ると、ほこりや日焼けが気になる」という理由で普段は閉じておくご家庭もあれば、「開いておくと日々ご先祖を身近に感じられる」という理由で開いておくご家庭もあります。どちらの考え方も、故人を大切に思う気持ちから来るものです。「閉じておくのは失礼」「開けっ放しはだらしない」と決めつける必要はありません。ご家庭のやりやすい方で、無理なく続けられる形を選んでください。

めくるタイミング──毎朝めくる家・命日に開く家

ページをめくるタイミングにも、大きく二つの運用があります。どちらも一般的で、優劣はありません。

毎朝1ページずつめくり、その日の月命日の方を偲ぶ

日付入り過去帳を使い、毎朝お参りのときに1ページずつめくっていく運用です。こうすると、その日に月命日を迎えるご先祖のページが自然に開かれ、「今日は誰々さんの月命日だ」と気づけます。毎日のお勤めを大切にするご家庭でよく見られる方法です。ただし、これは丁寧なやり方の一例であって、「毎日めくらなければならない」という義務ではありません。

月命日・祥月命日・法事のときだけ開く運用

もう一つは、普段は閉じておき、月命日や祥月命日(しょうつきめいにち・年に一度めぐる故人の命日)、法事(法要)のときにだけ、その方のページを開いてお参りする運用です。忙しくて毎日はめくれない、というご家庭でも無理なく続けられます。

どちらの運用にするかは、宗派やご家庭の慣習によって異なります。「毎日めくるのが正しくて、命日だけ開くのは手抜き」ということはありません。続けられる形を選ぶことが、いちばん大切です。

お盆・お彼岸・年忌法要のときの扱い

月命日や祥月命日のほかにも、お盆やお彼岸、一周忌・三回忌といった年忌法要のときには、故人やご先祖のページを開いてお参りするご家庭が多くあります。とくにお盆は、ご先祖をお迎えする期間として大切にされますので、普段は閉じておくご家庭でも、この時期だけは見台に載せて開いておく、という方も少なくありません。どのページを開くか迷うときは、その年に年忌を迎える方や、そのお盆・お彼岸に特に偲びたい方のページを開けば十分です。ここでも「必ずこう開かねばならない」という細かな決まりがあるわけではなく、ご先祖を思ってページを繰る、その心づかいが何よりのお参りになります。

位牌と過去帳を一緒に置くとき──併用の配置

お位牌と過去帳を両方お祀りするご家庭も多くあります。ここでは、位牌を専門に扱う立場からの配置の考え方をご紹介します。

位牌が主・過去帳は記録。位牌が増えたら繰り出し位牌+過去帳へ

先にも触れたとおり、一般的な考え方ではお位牌が供養の主役(依代)、過去帳はご先祖の記録という役割分担になります。ですから配置も、ご本尊の下にお位牌、その脇(向かって右あたり)に見台に載せた過去帳、という並びが自然です。

代が重なってお位牌の数が増え、仏壇の中に納まりきらなくなってきたときには、複数の戒名を一つにまとめてお祀りできる繰り出し位牌(くりだしいはい)へ切り替え、あわせて過去帳に記録を残していく、という整理の仕方もあります。お位牌の種類や本位牌への作り替えについては位牌とは・種類本位牌とはのページもご参照ください。

お位牌の新調をご検討の際は、お位牌Maker®でも、画面の質問に答えて入力するだけでお申し込みいただけます。旧字・異体字にも対応し、仕上がりの感じはリアルタイムで確認できます(あくまで目安のレイアウトで、実際の制作時は職人が文字数やサイズに合わせて校正します)。累計2万基以上をお作りし、寺院・僧侶の方にもご利用いただいていますので、迷われたときの参考になさってください。

浄土真宗の場合──位牌を基本用いず法名軸・過去帳が中心

浄土真宗では、他宗派とは供養の考え方が異なります。一般的な傾向として、浄土真宗ではお位牌を基本的に用いず、過去帳や法名軸(ほうみょうじく・法名を記した掛け軸)を中心に用いるとされます。これは「亡くなった方はすぐに阿弥陀如来のはたらきによって浄土に往生する」という教えに基づくもので、故人の魂が依代に宿るという位牌の考え方とは前提が異なるためです。

ただし、「浄土真宗では位牌を絶対に使わない」と言い切れるわけではなく、地域やお寺によって扱いには幅があります。また、本願寺派(西)と大谷派(東)でも、法名軸や繰り出しの扱いに違いがあるとされます。ここで細かな教義に踏み込みすぎると、かえって誤解を招きかねません。浄土真宗のお宅で過去帳や法名軸をどう扱うか、お位牌を用いてよいかどうかは、必ず菩提寺にご確認ください。より詳しくは浄土真宗の位牌のページでも整理しています。

日々のお参りの作法──合掌し、故人を偲ぶ

過去帳を置いたら、日々のお参りをどうするか、という点も気になるところでしょう。作法は宗派やご家庭によって幅がありますが、ここでは多くのご家庭に共通する一般的な流れをご紹介します。

ロウソク・線香・合掌の一般的な流れ

  1. 仏壇の前に座り、軽く一礼します。
  2. ろうそくに火をともし、その火で線香をつけます。線香の本数や立て方(立てる・寝かせる)は宗派によって異なります。
  3. おりんを鳴らし(鳴らし方も宗派で異なります)、合掌して故人・ご先祖を偲びます。過去帳が開いていれば、その日の月命日の方に静かに心を向けます。
  4. お参りが終わったら、ろうそくの火は手であおいで消します(息を吹きかけて消すのは避けるとされます)。

線香の本数やおりんの作法など、細かな部分は宗派によって考え方が分かれます。厳密な作法を知りたい場合は菩提寺にお尋ねください。日々の供養やご先祖への向き合い方については、先祖供養のページもあわせてご覧いただくと、考え方の背景が分かりやすいと思います。

過去帳をめぐるよくある思い違い

過去帳については、口伝えで広まった思い込みも少なくありません。いくつか、ご相談の多いものを取り上げておきます。

  • 「過去帳は他人に見せてはいけない」——戒名や俗名、没年月日といった個人的な情報が記されているため、むやみに見せびらかすものではありませんが、「見せると必ず不都合が起きる」といった決まりがあるわけではありません。法要でお寺の方に確認していただく、といった場面はごく自然なことです。
  • 「位牌がなければ過去帳だけでは供養にならない」——そのようなことはありません。前述のとおり浄土真宗のようにお位牌を基本的に用いない立場もあり、過去帳を中心にお祀りすること自体が一つの形です。
  • 「古くなったら新しい過去帳に全部書き写さないといけない」——傷みの程度やご家庭の考え方によります。書き継ぎや新調が必要かどうかは、菩提寺や仏具店に相談してから決めれば十分です。

見台がない・揃えられないとき──無理に揃えなくてよい

最後に、あえてお伝えしておきたいことがあります。それは、見台がなくても、道具が完璧に揃っていなくても、供養はできるということです。

見台がなくても供養はできる。お経机や最下段に丁寧に置く代替

「見台を用意しなければ失礼にあたるのでは」と気に病む必要はありません。見台は過去帳を見やすく飾るための道具であって、それ自体が供養の可否を決めるものではないからです。見台がない場合は、お経机(きょうづくえ)の上や、仏壇の最下段など、落ち着いた平らな場所に過去帳を丁寧に置いておけば十分です。閉じたまま置いておいても、命日にだけ開いても、失礼にはあたりません。

見台や過去帳を新しく用意する時期に、決まりはありません。四十九日や一周忌、あるいは新しく仏壇を迎えたときなど、区切りのタイミングに合わせて整えるご家庭が多いですが、ご自身の気持ちが整ったときで構いません。急いで揃えることよりも、納得して迎えることのほうが大切です。

大切なのは、立派な道具を揃えることよりも、ご先祖や故人を思い、手を合わせる気持ちです。ご予算やお住まいの事情に無理をしてまで、あれこれ買い揃える必要はありません。

古い過去帳・傷んだ表紙は無理に自分で直さず、菩提寺・仏具店へ相談

代々受け継がれてきた過去帳は、表紙が傷んだり、綴じがゆるんだり、文字が薄れたりしていることもあります。仏壇仏具の修復にたずさわってきた現場の経験からお伝えすると、こうした古い過去帳を、家庭用の接着剤やテープでご自分で直そうとすると、かえって傷みを広げてしまうことが少なくありません。特に和綴じの過去帳や、古い記録の残るものは扱いに注意が必要です。

傷みが気になる場合は、無理にご自分で修理なさらず、まずは菩提寺や、お付き合いのある仏具店にご相談ください。書き継ぎや取り扱いの方法も含めて、状態に応じた助言を受けられます。ご先祖の大切な記録ですから、慌てず、相談のうえで丁寧に扱うのが安心です。

過去帳の見台や置き方には、地域やご家庭ごとにさまざまな形があります。どうか「正しく置けているか」ばかりを気にしすぎず、手を合わせて故人を偲ぶひとときそのものを、何より大切になさってください。

よくある質問

過去帳は毎日めくらないといけませんか?

いいえ、毎日めくらなければならないという決まりはありません。日付入りの過去帳を使い、毎朝1ページずつめくって、その日に月命日を迎える方を偲ぶご家庭もあれば、月命日や法事のときだけ該当ページを開くご家庭もあります。どちらも一般的な運用で、優劣はありません。無理なく続けられる形で大丈夫です。

過去帳は開いたままにする?それとも閉じておく?

どちらでも失礼にはあたりません。命日のページを開いて飾っておくご家庭も、ほこりや日焼けを避けるため普段は閉じておくご家庭もあります。いずれも故人を大切に思う気持ちから来るものです。ご家庭のやりやすい方で構いません。地域やお寺の慣習が気になる場合は、菩提寺にご確認ください。

見台は必ず必要ですか?なくてもよいですか?

見台は必須ではありません。過去帳を立てて見やすくし、倒れにくくするための道具ですので、あると便利ではありますが、なくても供養はできます。見台がない場合は、お経机の上や仏壇の最下段など、落ち着いた場所に丁寧に置いておけば十分です。無理に揃える必要はありません。

過去帳は仏壇のどこに置くのが正しいですか?

一般的には、ご本尊の一段下・向かって右あたりに、ご本尊やお位牌を隠さないように置くことが多いです。段の少ない仏壇では、下段や引き出し(膳引き)に置くこともあります。ただし「必ずここ」という唯一の決まりはなく、仏壇の形や宗派・地域で変わります。本尊を隠さず、お参りしやすい位置であれば問題ありません。

位牌と過去帳は両方必要ですか?

宗派やご家庭の考え方によります。一般的には、お位牌が故人お一人おひとりの依代(供養の主役)、過去帳がご先祖の記録という役割分担で、両方を併せてお祀りするご家庭が多くあります。お位牌が増えてきた場合は、繰り出し位牌にまとめつつ過去帳で記録を残す方法もあります。一方、浄土真宗では位牌を基本的に用いず過去帳・法名軸が中心とされるなど、宗派で扱いが異なります。

浄土真宗でも見台に載せて過去帳を祀りますか?

浄土真宗では、お位牌を基本的に用いず、過去帳や法名軸を中心にお祀りするのが一般的な傾向です。過去帳を見台に載せてお祀りすること自体は行われますが、細かな作法や、本願寺派(西)・大谷派(東)による違いもあります。断定は避け、正式な扱いは必ず菩提寺にご確認いただくのが確実です。

この記事の執筆・監修者

奥本 一輝(お位牌Maker® 編集責任者)

全国の坐禅会を紹介する「坐禅会マップ」を運営。麗光堂による数多くの仏壇・仏具修復の現場経験をもとに、位牌・戒名・仏事の情報を編集・監修しています。

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