七回忌(しちかいき)は、故人が亡くなって満6年目の祥月命日(しょうつきめいにち)に営む年忌法要で、参列者を家族・親族中心に縮小していく最初の節目にあたります。三回忌までの手厚い法要から、少し落ち着いた供養へと移り変わる区切りです。
この記事では、はじめて施主(せしゅ)を務める方に向けて、七回忌の数え方(なぜ満6年か)・いつ行うか・準備と当日の流れ・お布施や服装のマナーまでを順に解説します。仏壇や仏具の修復・お手入れを手がけてきた立場から、年忌を重ねる節目に位牌まわりをどう整えるかにも触れます。
年忌法要全体の種類・時期・数え方は「法事とは|法要との違いと年忌一覧」で総まとめしています。
七回忌とは──没後満6年目の祥月命日に営む年忌法要
七回忌は、故人の死後満6年目にめぐってくる祥月命日(毎年の命日と同じ月日)に営む年忌法要です。読み方は「しちかいき」が一般的で、「ななかいき」と読む地域もあります。どちらも誤りではありません。
四十九日で「忌(き)」が明け、一周忌で「喪(も)」が明けたあと、三回忌・七回忌・十三回忌……と続く一連の追善供養のひとつです。三回忌までは手厚く営むのが通例ですが、七回忌からは規模を落ち着かせ、家族や親しい親族だけで静かに手を合わせる家が増えていきます。
七回忌の数え方──なぜ「七」なのに満6年なのか
七回忌でつまずきやすいのが「“七”なのに、どうして満6年なの?」という点です。答えはシンプルで、年忌法要の「回忌」は亡くなった年(命日)そのものを1回目として数えるからです。
つまり回忌の数字から1を引いた年数=満年数になります。七回忌なら「7−1=6」で満6年。三回忌が満2年、十三回忌が満12年になるのも同じ理屈です(一周忌だけは例外で、翌年の満1年に営みます)。
西暦でみる具体例
たとえば2019年に亡くなった方なら、2025年の祥月命日が七回忌にあたります。2020年に亡くなった方なら2026年です。「亡くなった年+6年」と覚えておくと迷いません。
年回忌法要 早見表(一周忌〜三十三回忌)
| 年忌法要 | 時期(命日から) |
|---|---|
| 一周忌 | 満1年 |
| 三回忌 | 満2年 |
| 七回忌 | 満6年 |
| 十三回忌 | 満12年 |
| 十七回忌 | 満16年 |
| 二十三回忌 | 満22年 |
| 二十七回忌 | 満26年 |
| 三十三回忌(弔い上げ) | 満32年 |
自分の七回忌はいつ?──没年月日から自動計算
早見表はあくまで満年数の対照です。ご家族の具体的な七回忌の日(何年何月何日か・曜日)は、下のツールに没年月日を入力すると、四十九日から三十三回忌までまとめて自動で表示されます。予定づくりや菩提寺への相談前の下調べにお使いください。
📅 年忌法要 自動計算ツール
没年月日を入力すると、四十九日から三十三回忌(弔い上げ)までの年忌法要の日(祥月命日)を自動で表示します。
※表示は「祥月命日」(命日と同じ月日)の日付です。実際の法要は当日または直前の土日に営むのが一般的で、日程は菩提寺とご相談ください。地域・宗派により数え方や行う年忌は異なります(特に浄土真宗は追善供養の意味合いが異なります)。
七回忌はいつ行う──命日当日か、その前の土日か
もっとも丁寧なのは祥月命日の当日に営むことです。とはいえ平日にあたることも多く、参列者の都合を合わせるのは容易ではありません。その場合は命日より前の土日・祝日に繰り上げるのが通例です。
気をつけたいのは、命日を過ぎてからの「後ろ倒し」は避けるという考え方です。供養を先延ばしにしない、という気持ちを大切にするためで、日程をずらすなら必ず命日より前に設定します。会場や僧侶の都合で前後する場合も、この「前倒しはよいが後ろ倒しはしない」を目安にすると迷いません。
一周忌・三回忌との違い──七回忌から規模を縮小する節目
一周忌や三回忌は、故人と縁の深かった友人・知人まで広く招くことも多い法要です。これに対し七回忌は、おおむね家族と近い親族だけで営む小規模な法要へと落ち着いていきます。悲しみが少しずつやわらぎ、日々の暮らしの中で故人を偲ぶ段階に入る、という区切りでもあります。
前回までの流れは「一周忌」「三回忌」で、最初の大きな法要は「四十九日法要 完全ガイド」で解説しています。あわせてご覧ください。
家族だけで行う七回忌──近年の小規模化
近年は七回忌を家族だけで営むケースが一般的になりました。自宅や菩提寺で読経をあげてもらい、少人数で会食、あるいは会食も省くという形です。これは決して簡略化ではなく、無理のない範囲で供養を続けるための自然な選び方です。
ただし規模を小さくする場合でも、菩提寺への連絡と読経のお願いは早めに行ってください。また、故人と親しかった親族には「今回は家族のみで」と一言添えておくと、後々の行き違いを防げます。招くべきか迷う相手がいるときは、事前に相談しておくと安心です。
七回忌の準備──施主のやることリスト
準備は2か月ほど前から動き始めると余裕をもって進められます。施主が行うことを番号順に整理します。
- 日程を決める──祥月命日か、その前の土日を候補に。菩提寺の予定を最優先で押さえます。
- 会場を決める──自宅・菩提寺・墓地の近くの会館など。人数に合わせて選びます。
- 僧侶に依頼する──菩提寺へ読経を依頼。日時と場所を早めに確定します。
- 参列者へ案内する──家族のみなら口頭・電話でも可。親族を招くなら1か月前までに連絡します。
- 会食(お斎)の手配──料理店の予約や仕出しの注文。僧侶の同席有無も確認します。
- 引き出物を用意する──参列者へのお返し。日持ちする食品や消耗品が一般的です。
- お布施・御車代・御膳料を準備する──表書きを整え、新札を用意しておきます(後述)。
- お供え・お花・お位牌まわりを整える──仏壇の掃除、供花、故人の好物などを準備します。
七回忌 当日の流れ
当日は次の順で進むのが一般的です。地域や宗派、菩提寺の作法により前後します。
- 施主の挨拶──参列へのお礼と、法要を始める旨を短く述べます。
- 読経──僧侶による読経。おおむね30〜40分程度です。
- 焼香──施主から血縁の近い順に焼香します。
- 法話──僧侶から故人や仏縁についてのお話をいただきます。
- お墓参り──墓地が近ければお墓へ参り、お花・お線香を手向けます。
- 会食(お斎)──場所を移し、故人を偲びながら食事をします。省略する場合もあります。
- 施主の結びの挨拶・引き出物──お礼を述べ、引き出物を渡してお開きです。
お布施の相場と表書き──御車代・御膳料はいつ必要か
お布施は読経への感謝としてお渡しするもので、決まった料金ではありません。あくまで目安として、地域・宗派・寺院により大きく異なる前提でご覧ください。
| 項目 | 目安 | 補足 |
|---|---|---|
| お布施 | 1〜5万円程度 | 三回忌と同等か、やや控えめにする家も |
| 御車代(おくるまだい) | 5千〜1万円程度 | 自宅・墓地へ来てもらう場合 |
| 御膳料(ごぜんりょう) | 5千〜1万円程度 | 会食を辞退・僧侶が同席しない場合 |
| 卒塔婆料 | 3千〜1万円程度 | 塔婆を立てる場合(浄土真宗は原則なし) |
御車代・御膳料が「不要」になる条件
この二つは、状況によって用意しなくてよい場合があります。分岐はシンプルです。
- 御車代が不要──法要を菩提寺で営み、僧侶が移動しない場合。
- 御膳料が不要──会食を用意し、僧侶がそこに同席してくださる場合。
逆に、自宅や墓地に来ていただくなら御車代を、会食を辞退される・会食自体を省くなら御膳料を添えるのが丁寧です。
表書き・お札・渡し方
表書きは白い封筒か奉書紙に「御布施(お布施)」と書きます。御車代・御膳料はそれぞれ別の封筒に。お札は新札を用意し、肖像が表・上向きになるよう入れると丁寧です(不祝儀の香典とは逆で、お布施は僧侶への謝礼なので新札で問題ありません)。中包みには金額を旧字体(金参萬円 など)で記すと改まった印象になります。
お渡しするのは読経の前の挨拶時か、法要後にお礼を述べるとき。手渡しは避け、袱紗(ふくさ)から出して切手盆(きってぼん)や小さなお盆にのせ、表書きが僧侶に読める向きにして差し出します。
香典・お供え・引き出物のマナー
参列者側が持参する不祝儀は、四十九日を過ぎているため表書きは「御仏前」とします(四十九日までは「御霊前」)。水引は黒白または双銀が一般的で、関西では黄白の水引を用いる地域もあります。金額は故人との関係により5千〜1万円程度が目安です。お供え物を持参する場合は「御供」とし、日持ちする菓子や果物、線香などが選ばれます。
施主側は、参列者へのお返しとして引き出物を用意します。表書きは「志」や「粗供養」。あとに残らない食品・洗剤・タオルなどが定番で、金額は2千〜5千円程度が目安です。
服装のマナー──施主・参列者・子どもの立場別
七回忌の服装は、三回忌以降ゆるやかに軽くなり、略喪服(平服)が基準になります。ここでの「平服」は私服ではなく、黒・紺・グレーなど地味な礼装を指す点に注意してください。
- 施主・親族──男性はダークスーツに白シャツ・地味なネクタイ、女性は黒や濃紺のワンピース・アンサンブル。施主は参列者より格を下げないのが原則です。
- 参列者──「平服で」と案内があれば略喪服で。案内がなければ略喪服が無難です。
- 子ども──制服があれば制服が正装。なければ白・黒・紺を基調とした地味な服装でかまいません。
迷ったときは一段丁寧な略喪服にしておけば失礼になりません。立場別の詳しい装いは「法事・法要の服装」で解説しています。
浄土真宗の七回忌──法名・過去帳・法名軸を中心に
浄土真宗では、亡くなった方は阿弥陀如来のはたらきによってただちに浄土に往生し、仏となる(往生即成仏)と受けとめます。そのため七回忌も「故人の冥福を祈って徳を回し向ける追善供養」というより、阿弥陀の救いに感謝し、あらためて仏法に出会う仏縁の場という意味あいで営まれます。卒塔婆は原則として用いません。
お祀りの形も少し異なり、位牌ではなく過去帳や法名軸に法名を記してお祀りするのが本来の形とされます。ただし地域やお寺、ご家庭の慣習によって位牌を用いる場合もあり、一概には決められません。作法は必ず菩提寺にご確認ください。くわしくは「浄土真宗の位牌|法名軸・過去帳の使い方」をご覧ください。
七回忌を機に、位牌まわりを整える
七回忌のころには、仏壇にいくつもの位牌が並び、手狭になっていることがあります。仏壇や仏具の修復を手がけてきた立場から見ても、年忌の節目は位牌まわりを見直す自然なタイミングです。無理に整理を勧めるものではありませんが、選択肢を知っておくと安心です。
- 繰り出し位牌(回出位牌)にまとめる──複数の札板を1つの位牌に納め、命日ごとに繰り出してお祀りする形。省スペースで先祖代々を守れます。→「繰り出し位牌とは」
- 「〇〇家先祖代々之霊位」にまとめる──個々の位牌を先祖位牌へ合祀する方法。→「位牌を一つにまとめる」「先祖代々之霊位とは」
まとめる際は、古い位牌から閉眼供養(魂抜き)を、新しい位牌に開眼供養(魂入れ)を、法要に合わせてお願いするのが一般的です。役目を終えた位牌はお焚き上げで丁寧に手放します(→「位牌の処分・お焚き上げ」)。手順や作法は宗派・菩提寺により異なるため、必ず事前に相談してください。新しくお作りする本位牌の種類は「本位牌とは」で紹介しています。
七回忌以降の年忌──十三回忌から弔い上げまで
七回忌の次は十三回忌(満12年)、以降は十七回忌・二十三回忌・二十七回忌……と続き、多くの家では三十三回忌(満32年)を「弔い上げ(とむらいあげ)」として年忌供養に一区切りをつけます(地域・宗派によっては五十回忌)。
弔い上げを迎えると、個人の位牌は「〇〇家先祖代々之霊位」にまとめてお祀りしたり、お焚き上げをして先祖の霊とひとつにする慣習があります。次の節目の詳細は「十三回忌」、区切りの考え方は「弔い上げとは」でくわしく解説しています。なお、十三仏信仰では各年忌に守り本尊が配され、七回忌は阿閦如来(あしゅくにょらい)にあたるとされますが、扱いは地域・宗派で異なります。
まとめ──迷ったら菩提寺に相談を
- 七回忌は満6年目の祥月命日に営む年忌法要。亡くなった年を1回目と数えるため「7−1=6」で満6年です。
- 日程は命日当日かその前の土日に。後ろ倒しは避けます。三回忌より規模を落ち着かせ、家族・親族中心が一般的です。
- お布施は1〜5万円程度+御車代・御膳料(各5千〜1万円)が目安。地域差が大きいので、金額も作法も菩提寺に相談するのが確実です。
- 年忌の節目は、繰り出し位牌や先祖代々之霊位で位牌まわりを整えるよい機会にもなります。
よくある質問(FAQ)
Q. 七回忌は「しちかいき」と「ななかいき」どちらが正しいですか?
どちらも使われます。一般には「しちかいき」と読むことが多いですが、聞き間違いを避けるために「ななかいき」と読む地域や場面もあります。どちらでも誤りではありません。
Q. 七回忌はいつ行いますか?満6年で合っていますか?
はい。七回忌は満6年目の祥月命日に営みます。年忌は亡くなった年を1回目と数えるため、回忌の数字から1を引いた年数(7−1=6)が満年数になります。たとえば2019年に亡くなった方なら2025年が七回忌です。
Q. 七回忌のお布施はいくら包めばよいですか?
目安は1〜5万円程度で、三回忌と同等かやや控えめにする家もあります。別に御車代・御膳料(各5千〜1万円程度)を用意します。地域・宗派・寺院で大きく異なるため、迷うときは菩提寺にご確認ください。
Q. 七回忌は家族だけで行ってもよいですか?
問題ありません。近年は家族のみで営むケースが一般的です。ただし菩提寺への連絡と読経の依頼は事前に行い、招くか迷う親族には「今回は家族のみで」と一言添えておくと安心です。
Q. 七回忌の服装は喪服でなくてもよいですか?
七回忌は略喪服(平服)が基準です。ここでの平服は私服ではなく、黒・紺・グレーなど地味な礼装を指します。施主は参列者より格を下げないのが原則で、迷ったら略喪服にしておけば失礼になりません。
Q. 浄土真宗の七回忌は他の宗派と何が違いますか?
浄土真宗は往生即成仏の教えのため、追善供養というより阿弥陀の救いに感謝し仏法に出会う仏縁の場と受けとめます。卒塔婆は原則用いず、位牌でなく過去帳・法名軸を中心とすることが多いですが、地域や寺により異なるため菩提寺にご確認ください。
