塗位牌(ぬりいはい)とは、木地に黒い漆を塗り、金で装飾をほどこした本位牌です。金仏壇に美しく映える、伝統的で格式の高いお位牌。選ぶときは、金の装飾のグレード(金色塗料・本金粉・本金箔)と、形(型)、サイズの3点で考えると分かりやすくなります。この記事では、塗位牌の種類・値段・選び方から、仏壇修復の現場で見てきた金箔の剥がれ方とお手入れの実態まで、塗位牌のすべてを解説します。
解説するのは、本位牌の通販専門店「お位牌Maker®」と仏壇修復「麗光堂」を運営するRKDコーポレーションです。新しい位牌をお作りする立場と、何十年も経った位牌・仏壇を修復してきた立場の両方の知見から、他ではあまり語られない実態も含めてお伝えします。
塗位牌とは?──黒塗りと金装飾が生む格式
塗位牌は、白木の木地に下地を施し、黒い漆を塗り重ね、金箔や金粉で装飾した位牌です。つやのある黒い漆面に金色の戒名文字が映え、金仏壇との相性は抜群。古くからもっとも格式の高い位牌とされてきました。
唐木位牌との違い──どちらを選ぶか
本位牌は大きく「塗位牌」「唐木位牌」「モダン位牌」に分かれます。塗位牌と唐木位牌の違いを整理しました。
| 塗位牌 | 唐木位牌 | |
|---|---|---|
| 素材・仕上げ | 木地に黒漆+金装飾 | 黒檀・紫檀の木目を生かす |
| 印象 | 華やか・荘厳 | 重厚・自然な木の美しさ |
| 合う仏壇 | 金仏壇・塗仏壇 | 唐木仏壇 |
| お手入れ | 金装飾があり、ややデリケート | 拭きやすい |
| 価格(当店) | 11,900円〜 | 15,900円〜 |
選び方の基本は「お仏壇に合わせる」こと。金仏壇・塗仏壇には塗位牌、唐木仏壇には唐木位牌が自然になじみます。お部屋に置く家具調のお仏壇にはモダン位牌という選択肢もあります。位牌全体の種類は位牌の種類と選び方もご覧ください。
塗位牌はどの宗派で使う?
塗位牌は浄土宗・天台宗・真言宗・日蓮宗など多くの宗派で用いられます(曹洞宗・臨済宗では唐木位牌も多く選ばれます)。素材に厳密な決まりはなく、お仏壇とのバランスで選んで問題ありません。なお浄土真宗は本来、位牌ではなく法名軸・過去帳を用いる宗派です。宗派別の戒名書式は宗派別・位牌の梵字と戒名書式をご確認ください。
塗位牌の漆──合成漆(カシュー)と本漆
塗位牌に使う漆には、合成漆(カシュー漆)と本漆(天然漆)があります。実は、市場に出回っているお位牌の大部分は合成漆(カシュー漆)製です。
合成漆(カシュー漆)は1948年(昭和23年)に日本で生まれ、1950年頃から漆の代用として広く普及した塗料です。紫外線や湿気に強く扱いやすいうえ、手頃な価格と十分な美しさを両立できるため、戦後70年以上にわたって、お位牌の"標準"の塗料として使われてきました。お位牌Maker®の通常の塗位牌も、この合成漆の仕上げに本物の金(本金粉・本金箔)や金色塗料をあしらった、手に取りやすい価格帯のものです。
一方、本漆(天然漆)は今や希少です。とくに国産漆は年間わずか約2トンしか採れず、その多くが国宝・重要文化財の保存修理に優先的に使われるほど(文化庁の方針)。本漆は年月とともに艶が深まり、千年以上保つともいわれる耐久性をもつ最高級の漆で、その頂点が炭で研ぎ摺り漆を重ねる「呂色(ろいろ)仕上げ」です。お位牌Maker®では、本漆・呂色の会津位牌を最高級としてご用意しています(本記事の会津位牌をご覧ください)。
金装飾の選び方──金色塗料・本金粉・本金箔の違い【重要】
塗位牌選びでもっとも価格と価値に関わるのが、金の装飾です。お位牌Maker®では、金の装飾で3つのグレードをご用意しています。
| 普及型 | 本金粉 | 本金箔 | 会津位牌 (最高級) |
|
|---|---|---|---|---|
| 漆 | 合成漆(カシュー漆) | 合成漆(カシュー漆) | 合成漆(カシュー漆) | 本漆(呂色) |
| 金の装飾 | 金色塗料 | 本物の金粉 | 本物の金箔(三方金・面金) | 本物の金 |
| 見た目 | 本金粉とほぼ見分けがつかない美しさ | 金粉特有の落ち着いた仕上がり | 面で輝く格調高さ | 髪の毛1本でも映り込む鏡面と深い艶 |
| 経年の変色 | 塗料のため経年で変化することがある | 金は酸化しないので変色が少ない | 金は酸化しないので変色が少ない | 金は酸化しないので変色が少ない |
| 価格(込み) | 11,900円〜 | 17,670円〜 | 20,350円〜 | 75,900円〜 |
普及型(金色塗料)──本金粉とほぼ見分けがつかない手頃さ
普及型は、金の部分を金色塗料で表現したお手頃なグレードです。本物の金は使っていませんが、本金粉仕様とほとんど見分けがつかない美しい仕上がりで、価格を抑えたい方に選ばれています。「まずきれいな塗位牌を手頃に用意したい」という方に最適です。
本金粉・本金箔──本物の金は酸化せず、長年たっても変色が少ない
本金粉・本金箔は、本物の金を使ったグレードです。金には酸化(変色)しにくいという性質があり、長年お祀りしても金の輝きや色合いが変わりにくいのが大きな利点。「世代を超えて受け継ぐ」「長く美しさを保ちたい」という方には、本物の金を使った本金粉・本金箔がおすすめです。
・本金粉=金色の部分に本物の金粉を用いた、金粉特有の落ち着いた仕上がり。
・本金箔=金の箔を貼って装飾(三方金・面金)。面で輝く格調高さ。
【仏壇修復の現場から】金箔は剥がれやすい・金粉は比較的剥がれにくい
意外に知られていませんが、金箔は非常に剥がれやすい装飾です。金箔1枚の厚みは約0.1ミクロン(1万分の1ミリ)しかなく、漆系の接着剤で貼り付けているため、摩擦に極めて弱いのです。修復のご依頼でも「正面の金箔だけ剥がれて塗り面が見えている」「金箔の端から浮いて剥落した」という状態をよく目にします。
一方、金粉(蒔き金)は粒子状で接着面が多いため、金箔より剥がれにくい傾向があります。どちらを選んでも、お手入れの際はこすらないのが鉄則です(詳しくは後述)。
塗位牌の形(型)の選び方
塗位牌には複数の「形(型)」があります。形によって印象とサイズ感が変わるので、お仏壇の大きさ・既存の位牌とのバランスで選びましょう。
・春日(かすが)──もっともシンプルで定番の形。どんなお仏壇にも合わせやすい。
・蓮華付春日──春日に蓮華の装飾を加えた、もっとも選ばれる"ちょうど良い"形。
・勝美(かつみ)──台座に装飾が映える、気品ある中型。
・葵角切(あおいすみきり)──上部の角を落とした上品な木瓜型。
・上等猫丸(ねこまる)──丸みのある優美な姿。三方金が映え、夫婦連名にも向く。
・千倉(ちくら)/吹蓮華──蓮華の彫刻が美しい最高級の形。
すでに先祖の位牌がある場合は、同じ形・同じ高さ以下でそろえると統一感が出ます。サイズの選び方は位牌のサイズの選び方をご覧ください。
塗位牌の値段とグレード【早見表+商品一覧】
お位牌Maker®の塗位牌は文字入れ・送料込みで11,900円〜。グレード・形によって価格が変わります。気になる位牌の画像をクリックすると、そのまま文字入れ・ご注文に進めます。
普及型(合成漆・金色塗料)|11,900円〜
本金粉とほぼ見分けのつかない美しさを、お手頃な価格で。
本金粉(本物の金粉)|17,670円〜
本物の金で、長年たっても変色が少なく、落ち着いた仕上がり。
本金箔(本物の金箔・三方金)|20,350円〜
面で輝く本物の金箔の格調。
さらに上の最高級として、本漆・呂色仕上げの会津位牌(75,900円〜)もご用意しています(後述)。
位牌全体の費用感は位牌の値段の相場と総費用の目安もご覧ください。
塗位牌のお手入れ──金箔・金粉を傷めないために
塗位牌は、金箔・金粉という繊細な装飾があるため、唐木位牌よりお手入れに気をつかいます。とはいえ、正しく扱えば長く美しさを保てます。
基本のお手入れは「毛払い」と「やさしい乾拭き」
普段は、やわらかい毛払い(毛ばたき)でほこりを払い、必要なら乾いたやわらかい布でそっと乾拭きする程度で十分です。金装飾の部分は特にやさしく扱ってください。
【仏壇修復の現場から】絶対にやってはいけない3つのこと
修復のご依頼で多いのが、良かれと思ったお手入れで金箔・漆を傷めてしまったケースです。
① 強くこすって拭く──金箔がそのまま剥がれます。「きれいにしようと拭いたら、正面の金箔が剥げてしまった」というご相談は本当に多いです。
② 水拭き・化学ぞうきん・除菌スプレー・家具用ワックス──漆面が曇り、金装飾を傷めます。
③ 直射日光・エアコンの風が当たる場所──紫外線や急な乾燥で、漆のひび・浮き・剥離の原因になります。湿気の多い場所も漆ごとの剥離を招きます。
置き場所は直射日光と空調の風を避けた、温度・湿度の安定した場所が理想です。なお、唐木位牌は金装飾がなく拭き掃除で剥がれる心配が少ないぶん、塗位牌よりお手入れは気軽です。お手入れのしやすさを重視するなら唐木位牌、華やかな格式を重視するなら塗位牌、と考えるのも一つの選び方です。
文字入れ──黒漆に金文字が映える
塗位牌は、つやのある黒漆に金色の戒名文字がくっきりと映えるのが魅力です。お位牌Maker®では戒名・俗名の文字入れは無料。旧字・異体字にも対応しています(旧字・異体字対応)。
位牌づくりで一番不安なのが「文字の仕上がり」。お位牌Maker®は業界唯一のリアルタイムプレビュー方式で、戒名や没年月日を入力するとその場で完成イメージが画面に表示されます。納得してからご注文いただけます。
会津位牌──塗位牌の最高峰(本漆・呂色仕上げ)
塗位牌の最高峰が、福島県会津若松の伝統工芸会津塗による会津位牌です。約400年の歴史を持ち、本漆を用いて会津の職人が手作業で仕上げる「呂色(ろいろ)仕上げ」は、炭で研ぎ、摺り漆を繰り返して生まれる、鏡のように深い艶が特長。ここまで紹介した塗位牌(金色塗料・本金粉・本金箔)に対し、会津位牌は本物の漆=本漆を用いた、まさに最高級です。
お位牌Maker®の会津位牌は文字入れ・送料込み75,900円〜。世代を超えて受け継ぐ、特別な一基をお求めの方に。

春日 呂色
定番の呂色
75,900円〜

勝美 呂色
気品ある中型
85,800円〜

葵角切 呂色
上品な木瓜型
88,110円〜

上京型千倉 呂色
京型の千倉
87,120円〜

上等猫丸 呂色
丸みのある優美な姿
133,980円〜

吹蓮華極上千倉 呂色
蓮華彫りの最高峰
247,500円〜
会津位牌の一覧は会津位牌の一覧からご覧いただけます。
塗位牌のよくある質問(FAQ)
Q. 塗位牌と唐木位牌、どちらを選べばいいですか?
お仏壇に合わせるのが基本です。金仏壇・塗仏壇には塗位牌、唐木仏壇には唐木位牌がなじみます。お手入れのしやすさなら唐木位牌、華やかな格式なら塗位牌が向いています。
Q. 普及型(金色塗料)と本金粉は、見た目で違いますか?
ほとんど見分けがつきません。普及型は金色塗料で本金粉に近い美しさを手頃に実現しています。違いは「本物の金かどうか」で、本物の金(本金粉・本金箔)は酸化しにくく、長年たっても変色が少ないのが利点です。
Q. 金箔は本当に剥がれやすいのですか?
はい。金箔は約0.1ミクロンと非常に薄く、摩擦に弱いため、強くこすると剥がれます。金粉(蒔き金)は比較的剥がれにくい傾向です。いずれもお手入れはこすらず、やさしく行ってください。
Q. 浄土真宗でも塗位牌を使っていいですか?
浄土真宗は本来、位牌ではなく法名軸・過去帳を用いる宗派です。ただしご家庭のご事情やご住職のご判断で位牌を用いる方もいらっしゃいます。その場合は「霊位」を使わないなど宗派の書式にご注意ください。
Q. 「会津塗」は普通の塗位牌と何が違いますか?
会津塗は本漆を用い、会津の職人が手作業で仕上げる呂色仕上げが特長の最高級品です。お位牌Maker®の通常の塗位牌に対し、会津位牌は本漆・呂色仕上げの最高級品となります。
まとめ|塗位牌を選ぶときのポイント
塗位牌は、金の装飾(手頃な金色塗料か、長く変色しにくい本物の金か)と形(型)、そしてサイズで選ぶのが基本です。迷ったらお仏壇の雰囲気に合わせ、すでにある位牌とサイズをそろえると失敗がありません。お手入れは金装飾をこすらないことだけ守れば、長く美しさを保てます。
お位牌Maker®なら、美しい塗位牌を文字入れ・送料込み11,900円〜、本物の金を使った本金粉・本金箔や、本漆・呂色の会津位牌まで、リアルタイムプレビューで仕上がりを確認しながら最短当日発送でお作りします。まずは塗位牌の一覧をご覧ください。








